ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第二章-5 ( No.40 )
- 日時: 2010/04/25 17:19
- 名前: こたつとみかん (ID: ubqL4C4c)
- 参照: いん ざ あるるん はうす♪
>>39 ユエ様
おーいえ!
了解です。そちらも頑張ってください。
こたつとみかんでしたっ!
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第二章『大仕事』⑤
ヴィルバーは右手に持った大型スパナの持ち手にある、小さな突起物のような部分を親指で引っ張った。刹那、スパナの先から飛び出すような勢いで刃が姿を現した。その先をアイビーの首筋に当てる。
「アンタら、何しにここに来たっスか……? 俺は殺し合いをさせるために依頼したわけじゃないっスよ。この追放者は俺が何とかしとくから、アンタらはさっさと目当ての魔物を倒しに行くっス……!」
そう言うヴィルバーの表情は不満げに怒っているようだったが、若干怯えているようで、身体を小さく震わせていた。本気の人間同士の殺し合いを間近で見たのだ。無理もない。ヴィルバーは荒事にはほぼ免疫のない、一介の武器製造師なのだから。だが、先程の五寸釘の投てき精度といい、今までの殺気といい、素人のそれではないことをアイリス理解した。——誰かに、戦闘の心得でも教わったのだろうか。なんにせよ、依頼主がそう命令しているなら、雇われている側の人間は従うしかない。それに、心得があるなら過度な心配は不要だろう。
「……すまない。今すぐ探しに行かせて貰う。頼んだ、デルブライト。……いくぞ、黒峰」
「承知。依頼主殿、こちらが終わったら直に戻るで御座る」
二人がヴィルバーに背を向けて走り出そうとした。
「頼んだっスよ。黒峰さん、っと、フー……ルさん?」
「誰がフールだっ!」
走り出していたアイリスは、急に振り向き、手ごろな小石を掴んでヴィルバーに投げつけた。フールとは、古代共通語で「愚か者」と言う意味だ。アイリスは独学だが教養があるため、それくらい知っている。——冗談じゃない。アイリスの投げた小石はまともなフォームで投げられたものではなかったため、ヴィルバーに当たりはしなかったが、「止めてほしい」という意図は伝わったようだ。素直に謝ってきた。
アイリスと黒峰の背中を、アイビーが追おうとする。
「ま、待ちなさい! 逃がしませんわ……!」
しかし、ヴィルバーがそれを許さない。
ヴィルバーは追おうと走り出したアイビーに自分の足を引っ掛け、転ばせた。それでアイビーは勢いよくつまずき、空中で一回転し、地面に背中を打ちつけた。
「つうぅ……」
痛みに悶絶するアイビーを見下ろして、ヴィルバーは言った。
「アンタの相手は、この俺っス……!」
分割しまふ!