ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第二章-9 ( No.74 )
- 日時: 2010/05/30 17:35
- 名前: こたつとみかん ◆KgP8oz7Dk2 (ID: J0KoWDkF)
- 参照: よーやくだー!
「ううぅぅぅ……」
ニーベルとディオーネによって身包みを剥がされて無理矢理服を着せられ、この世の終わりを見たような表情をするアイリスに対して、その服装はとても明るく、いかにも「年頃の女の娘」と言うに相応しいものだった。
オレンジ色のカットソーに、白色のフリルのついたスカート。靴もブーツではなく赤色のパンプスに代えている。髪は後頭部の高い位置でひとつにまとめ、見事なポニーテールを作り出していた。寒色の瞳と髪に対している暖色の服装は、それはもう反則的なほど似合っていた。
「すっごい似合ってるよ!」「お似合いです! 可愛いですよ!」と、ニーベルとディオーネが口々にアイリスを褒めるが、アイリス自身は全然嬉しくなかった。むしろ、馬鹿にされているようにも聞こえた。
ふと、ニーベルが時計を見て思い出したように口を開く。それも、何故か満面の笑みで。
「あ、そろそろ晩御飯の準備しなきゃ。アイリ、買い物に行ってきて。……その格好で」
「なッ……!」
怒りのせいか、照れのせいか、アイリスの顔は真っ赤に染まった。それから色々と文句を探しているようにあたふたしていたが、やがて諦めたようで、うなだれて消え失せりそうな声でアイリスは言った。
「わかったよ……」
アイリスは全身からどよんとした空気を周囲に撒き散らせながら居間を後にする。
アイリスがいなくなってから、ディオーネが心配そうに呟く。
「大丈夫ですかね、アイリスさん。あの格好じゃあ、強盗なんかに襲われたら大変ですよ」
「大丈夫、だよ……。アイリは、強いんだから……。どんな……強盗が、襲ってきても……、高周波斧で……やっつけちゃうよ」
その言葉にディオーネは一瞬硬直し、呆れたように苦笑した。
「で、でも、さっきアイリスさんは高周波斧持って行きませんでしたよね?」
「え?」
そんなことは。そうニーベルは言おうとしたが、丁度そのときに訪れた、もう一人の訪問者によってその言葉は撤回される。
律儀にドアをノックし、笑顔で家に入ってきたのはヴィルバー・ニック・デルブライトだ。それも、大きい棒状の物を抱えて。ヴィルバーは入ってくるなり笑って言った。
「フールいるっスか? やっと直ったっスよ。高周波斧!」
それを見て、ニーベルが声を漏らした。
「あ」