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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Prologue ( No.10 )
- 日時: 2010/04/25 09:04
- 名前: 律 ◆tdNM0cwS6s (ID: 0vH/svqy)
■第一章 03
また、路地裏へ。
彼女が居ることを期待しているのか、
そんな俺はみっともなくて目をつぶってしまいたくなる、
「何だ夜洸。学校は?サボリか。」
上空から声が聞こえる。
俺のワクワク的気持ちを殴りたい。開き直る気もない。
というか、開き直れる気がしない。
「…お前もだろーが、莉倖。」
「やけにお前が馴れ馴れしい件について。」
…やめろ。そこを聞くな。急所だぞ、マイナス思考不良の。
莉倖は屋根から飛び降りた。…猫かっつーんだよ。
「嘘。冗談。悪いな」
と、ほくそ笑む莉倖。
謝るのか…、軽く予想外だったことに気付く。
「お前こそ学校は。」
「…仮病。」
「よけい悪くないか、」
「悪くない、今日だってちょっと鼻水が出た。」
「ちょっとかよ。つーか汚い。つーかもう仮病って言ったし。」
「つーか2回〜。」
俺の負け、口だけはまわるみたいで。
「夜洸。」
「……ん。」
「お前、学校どこだ。」
「蘭高。」
あの不良の、と莉倖はあきれた。
「何故にバカ高へ行く。」
「……プライバシーに関わりますので言えませーん。」
「…そうか。」
俺は寝そべって莉倖に背を向けた。
莉倖は屋根の上へ飛んだ。そこで寝るつもりらしい。
どんだけだよ。どんだけ〜ってか。
「夜洸。」
「…何」
「気が向いたら教えてくれ。」
莉倖の些細な心遣いに度々胸をえぐられる。
何故こんなにも惹かれる。
名前を呼ばれるたび、その真っ赤な髪が揺れるたび。
——俺は。
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