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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Prologue ( No.13 )
- 日時: 2010/05/02 23:04
- 名前: 律 ◆tdNM0cwS6s (ID: 0vH/svqy)
■第一章 05
今日は俺の方が早かった。
別に、どうでもいいけど。
「よう。」
屋根の上であぐらかいて空を見上げる莉倖がいた。
「いつ来たんだよ。」
「たった今。」
「…嘘付け、」
「嘘でーす。」
「…ほらみろ、」
莉倖はスタッと俺の足元へ降りてきた。
そして、俺の目をじっと見つめた。
—そして、隣に座った。
莉倖は、何も言わない。
俺が言うのを待っているのか、と思わせた。
「お前、何人。」
「日本人。日本語喋ってるじゃん、ほら。こーんにーちはー」
「髪…赤いし。」
「染めた。」
「嘘つきやろーめ、」
「まじ、」
「だって…」
他に何があるんだよ、と身を乗り出して俺を覗き込む。
そうだよ、その——
「目、蒼いじゃん。」
「カラーコンタクト。」
そして、莉倖はクスッと笑った。
「…嘘。ハーフ。」
聞いた話によると、お母さんが外国人で、お父さんがハーフらしい。
(お父さんのお父さんが日本人、お母さんが外国人らしい。)
「つまり…だな。4分の1日本人みたいな感じか。」
「じゃあ、名字は日本語なんだ。あれ、名前も日本語じゃん。」
「そう、お母さんが日本語なら日本語にしなさいって言ってたらしいから。」
他愛もない話で盛り上がった。
「なあ…莉倖。」
「…ん。」
莉倖も俺の言いたいことが分かっている気がする。
「蘭高入る前さァ…。」
俺は、誰かに心を許すのが恐かった?
認めたくねェ。
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