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第四話 司令官の言葉 ( No.15 )
日時: 2010/04/11 16:40
名前: 紅沙祁 (ID: e65Hbqlh)

>暗刻の導き手さん

よろしくお願いします!^^

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「そこの少年……」

司令官はシャエルに声をかけたが、その言葉は途中で止まった。
人の形をした灰の塊に向ける、腫れぼったく虚ろな目。
灰で真っ黒になった手。
この少年の姿から状況はすぐに分かった。
シャエルは司令官の方へ目も向けずに、無表情で佇んでいた。

「そこの少年、救助に来た。こっちに来い」

シャエルは何も言わず、そのままだった。
司令官はしばらくして、また口を開いた。

「聞こえないのか。こっちに来い」

「……イヤだ。ずっとここにいる」

司令官はため息をつくと、馬から降り、シャエルの隣にあぐらをかいて座った。

「お前を乱暴にここから引き離すつもりはない。
 しかし、ここにずっとお前を留まらせるつもりも全くない。
 ここにずっと留まったら、何になる?」

「ここじゃなかったら、僕はどこに行けばいいの?
 何をすればいいの?」

シャエルが小さい声で言う。

「なら、俺がお前の親代わりだ。
 お前は俺の家へ来ればいい。
 いつまでも死を悔やむな。悔やむぐらいなら前へ進め」

シャエルはついに司令官の方を向いた。

「……前へ進む?」

「そうだ。前へ進め。そうすれば楽しい事はたくさんやってくるぞ」

「……僕、前へ進んでみる」

「ああ!」

司令官がシャエルを馬に乗せていると、兵士が黒髪の少女を連れて走ってきた。
兵士は敬礼をしながら言った。

「ハイトン司令官!生存者が一名見つかりました!
 少女です!」

「後ろの子か?」

少女は兵士の後ろに隠れた。
シャエルと司令官をまじまじと見ている。

「はい!そうです」

「そうか、引き続き生存者を探せ!…………