ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第2話 ミゲル ( No.138 )
- 日時: 2010/04/23 17:47
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)
「しぶといな・・・」
「ギィイィイィイ!」
曲刀を幾つも突き刺された猪(?)が
痛みのあまり助けを求める。
誰に助けを求めるのか、
何処へと逃げていくのかは手に取るように分かる。
出来る限りこの孤島の中心へ、親のいる巣穴へと逃げているのだ。
その考えは9割は正解、
残り1割は外れていた。
無法地帯と聞いていたのだが、
どうやらこのシルドア諸島の魔物たちは、
生存競争の横並びの者同士で助け合うらしく
ロゼの行く手を一匹の紅い子龍が遮った。
「どいて?ねえ、どいてよ?」
凄まじい殺気を放ち、龍を威嚇するが効果が無い。
窒息するどころか怯む気配すらない、
この龍自体はかなりのレベルのハズだが
この地域では13中レベル2といった所だろう。
ロゼ自信も薄々ではあるが、気が付いている。
あえて言えばロゼ自身は4/13もあれば良いところだろう。
「ミゲル、誰かいたの?」
不意に近くの茂みがざわつき金髪の女が現れた。
気配どころか足音すら無しに近寄ってくる。
攻撃されて避ける避けられないの前に
攻撃してきた時、一撃で殺られるだろう。
どうこの場から立ち退くか!
出来れば相手の不意をつき魔力体となり周囲に散り、
離れた場所まで風に乗って移動する。
それがベスト!
しかし、その不意すら無い。
彼女の目に映るのは、
自分の命を断ち切るであろう絶対的強者だけだ。
「構えなくて良いよ、私は貴方に何もしないし…貴方が何かしなければこっちから何かすることは無いからさ」
その言葉の直後、凄まじい殺気が辺りに充満した。
息が出来ない!?
死・・・・・・ぬ・・・・・・?
私は・・・・・・何も成せず・・・・・・・死ぬのか?
奴は殺気を緩める気配を見せず、
むしろ強くなっていく。
息が出来ないまでは良かった、
殺気が強くなるにつれ、血流が不安定になっていく。
しかし、そこでそれは止まる。
何故?
「殺気…ミゲルに向けた分ね」
「そう・・・・・・ゲホ!貴方は…何者?」
「海賊!の船長!」