ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第3話  ストレイキャット   ( No.143 )
日時: 2010/04/25 00:25
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

「船長、フィオが隣の島で見つかったんですかどうします?」

今度は木の上からバラバラになった人骨が降ってきて
その中の髑髏が喋った。

「フィオて、まさか猫?」
「そうだけど…なんで知ってるの?」
「私達の増援でサタンが…」

サタンが?
そういえばサタンが『とある海賊船から連れてきた』
と言っていた様な気もする。
その海賊がコイツか
思っていた以上に変なメンバーだ。

「で、貴方はフィオを知ってるのね?」

ミゲルの飼い主が聞く。
殺気からは考えられないくらい軽い性格だが、
凄まじい魔力が周囲の魔物を寄せ付けない。
強い奴ほどしっかりした性格と言うワケではないらしい。

「ええ、猫でしょ?喋るロシアンブルーの幻影種」
「あの猫は強いよ?」

確かに強いだろう。
しかしだ、
何故猫があそこまでのレベルにどうしたら達する?
全ての生き物には限界がある。
その限界は何をどうしようと超えることは不可能だ。
ましてや、猫の限界なんて知れている
いくら幻影種の強い魔力を持つ猫であろうと
限界は限界、超えることなど無い。
何故、種を超えた力を持っていた?
フィオは・・・何か、生き物の進化の鍵を握っていると見て間違いない。

「なんて、考えてるんだろうケド…フィオは猫であり魔人なんだ。限界までまだ到達してない」
「馬鹿な、そんなわけが無い」
「私の魔力を浴び続ければ、基本ああなるんだ。私は…魔神だからね」

魔神?
魔神は遥か昔に死に絶えたはずだ。
今生存する最も魔力の強い魔神と言うべき固体は大悪魔
サタンのみ!
魔神がシルドアに生息していた?
そんなはずが無い。

「そういえば、君の名前は?製造コードでも構わないよ?」
「・・・・・・・・・隠し事も無理みたいね、私はロゼ。ハルでも良いわ」
「私は…えーと」

ウェストポーチを探り、紙らしき物を取り出した。

指名手配、アリソン=F=セイファート
賞金70000000000$
罪状、海賊行為、海兵大量殺害、危険指定第1級生物容疑、反政府運動指導容疑、魔海戦争首謀者及び魔海生物の大量虐殺、他約8000を超える罪状有り
現在、ストレイキャット号船長

言葉を失った。
何を話すべきか、さっぱりだ。

「船長、どうするんですか?フィオ」

上から声がした。
見覚えがある、
ヴァム=ノクターン
サタンの会社でたまに出入りしている人間のはずだが
何故ここに?

「船長なんだから副船長の俺にまかせっきりにしないでくださいよ」
「悪い、今日だけお願い!」

その言葉が合図だったかのように、船員は皆
船長の下から離れた。