ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第2話  ドス黒い視線   ( No.165 )
日時: 2010/05/01 12:35
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

コーン…コーン…コーン…コーン…コーン

規則正しく施設内に澄んだ綺麗な音が木霊する。
2人の魔王が同時に空間断絶魔法を使用した結果、
研究施設ごと異次元へ引きずり込んでしまったのだ。
その音が鳴るたび、
人間の研究員が次々と耳から鮮血を噴出してぶっ倒れていく。

「参ったな、次元断絶種の魔法は同時発動してはいけないのに・・・」

サタンがぼやく。
そのぼやく合間に透明で巨大な何かが空間の中をとび回っている。
その何かは周囲を破壊し、
回りの人間という人間を殺す。
一通りの人間が死に絶えると、姿を現した。
巨大な黒い龍、
1世紀昔に絶滅した、
暗炎種の成体らしい。
しかし何故それが今ここに?

「見事だハデス、魔海戦争以来だな」
「ミゲルもね」

魔王が同時に言い放つ。
ミゲルと呼ばれた龍も姿を現した。
シルドアの島であったあの龍のはずなのだが、
ハデスと同じような大きさだ。
何故!?

「ハデスか・・・80年ぶりだな」

しかもミゲルが喋った!?
それに反応するようにハデスのドス黒い視線が向けられた。

「貴様か・・・二度と会いたくなかった顔だな」

覚醒した2匹の龍は仲が悪かった