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第1話  天空都市エアルダ ( No.178 )
日時: 2010/05/09 21:41
名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)

「何で…ここに…?」

そういうのも無理も無い。
『天空都市エアルダ』
かつてロゼが政府の連中に撃たれた所だ。
あのときに出来た戦闘跡も、火薬庫の爆発したした跡も、
白刃の血が飛び散った染みまでもが何もかも!
全てが…そのままなのだ。

「殺れ、白刃」

その声は突然やってきた。
前触れも無く突如弾丸がロゼの頬を掠める。
発砲したのは…白刃…?

「死んでなかったんだ!死んでなかった!生きてた!」
「そう、生き返ったのだ。君を…殺すためにね」
「……え?」

ドン!

ロゼの胸を銃弾が貫通する。
しかし、その程度で死ぬロゼではない、
むしろ、殺しに行ってしまう。

「どうだ、あの時のサバイバルゲームからずっと水槽の中で強化され続けた白刃の力は?」

発砲に気を取られていて気が付かなかった。
白刃が…ナイフを構えて真後ろにいたなんて…。

ブシュウ!

背中で肉の切れる音がする。

「白刃…何で?何で?何で!あの時は助けてくれたじゃない!」
「…………ワルイナ、オレハオマエノシルシラハデハナイ」
「声まで感情が無いなんて…また…殺さなきゃいけないなんて…」
「そうだ、殺さなければいけないんだよ」

ギィイィイィイィン!

曲刀とダガーナイフが擦れあい、嫌な音を立てる。
何で…こうなるんだろう?
何を…間違えたんだろう?
何で…生まれてきたんだろう?
何で…私はあの時死ななかったんだろう?
何で…人間を…殺してきたんだろう?
何でだ?
何で私は…、私はこんな仕打ちを受けなければならないんだ?

「何で!?何故!何故!何故!何故だッ!!何故私はッ!何故!何故だ!何故!……何故生きてる?何処で何を間違えたんだろう?何処で…」
「それは、君が存在している事だ。君が存在しなければ、白刃は楽に死んだだろうに」
「黙れッ!」

ロゼは曲刀をそいつに投げつける。
しかし、ことごとく弾かれ、最後の…1本となった。