ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第3話 悪夢【幸せ】 ( No.181 )
- 日時: 2010/05/10 22:25
- 名前: 禰音 鏡幻 ◆akHvV3kiSo (ID: cYSZrqDn)
「…………!」
ロゼの言葉の直後、
しばらくの沈黙が続き後、
白刃の寝ぼけているかような眼に光が戻る。
「…シア?どうしたんだよ!?そんな傷だらけで!」
「ば…馬鹿な…何故だ!何故!?目を覚ました!」
「覚めちまったモンは仕方ネェだろ?セル!」
セル?
ずっと前に聞いたような名前だ。
確か…
「私をこんな体にした奴か!そうだ!」
「フン、白刃、貴様には期待したのだが…無駄だったらしいな」
「へッ!期待?勝手にしてろよ、お前は俺に殺される期待でもしてたんだろ?俺にこんなことさせてよォ」
「フン、生前も今も生意気な所は変わらんな。礼儀という物を——…」
「叩き込んであげようか…セルちゃん。いや、反逆者セル・クレイム!」
アリソンが地面から生えてきた。
まったく、何でそうやって登場するかな…。
「ヒーローは遅れてやってくるものだよね」
いや、そうじゃなくてさあ…。
「フン、魔神か…我の敵でもない、行け!アデル!」
その言葉の直後、赤黒い龍がセルの後ろから現れ、
炎を吐いた。
「ミゲル、応戦任せた」
「承知した」
約1秒無いやり取りの後、
ミゲルが相手を上回る規模での火炎放射を繰り出す!
「ハデス、お前もだ」
「…フン、貴様の頼みでは…仕方ないな」
そう言うと、ミゲルと並び炎を吐くが、
アデルの炎の力が増す。
何故だ?
始めはミゲルだけで勝っていたのに?
「大地よ、我に力を貸し、大地を踏みにじり汚す力無き者たちに裁きの鉄鎚を!エンデリア法艇!神緑樹!」
その言葉と同時に、周囲を大木が囲み、
4人を押しつぶす!
「呪文媒体?何て惰弱な魔王だ、この程度で私に勝ったつもりかな?…愚かにも程がある。魔法って、こうやって使うのよ」
目の前に迫る巨木に手のひらを合わせると、
炎が上がり、一瞬にして巨木は灰と化す。
しかし、それを読んでいた様に、
灰から再び巨木が出現し、なお迫る。
「…諦めの悪さだけは認めてやるよ」
白刃が始めて攻撃に移った。
「無理よ!私にすら劣るのに!」
「黙って見てろ!」
止めるが、効果が無い。
よほど自信があるらしい、
地面に手を当てると、
なにやら呪文らしき物を唱え始めた。
その呪文は、魔神すら聞いた事の無いものだったらしく、
アリソンも顔をしかめている。
「アルバロ…ダウラ…アンディア!」
長い呪文を復唱し終わった直後だ、
地面が割れ、セルを引きずり込む!
「クッッ!貴様ァアァアァアア!モルモットの分際で!」
「そのモルモットに止めを刺されてみるのって、どうだ?」
「!」
紅破達がセルを上から見下ろしている。
「さて、私達の勝ちのようね?」
「……私を作ったのは、貴方なの?良かったわね〜、拷問されなくて」
「ヘーえ、悪の大将も怖がるんだな」
「そりゃあ、そうだろう、シュイ?」
「「「「…トドメだ」」」」
全員が思い思いの攻撃をセルにぶつける。
端から見たら、集団リンチだが、
それだけの事を、この男はやってきたのだ。
「仕方ないのかもね?」
「だな」
「反逆者の処分完了。サタン、魔界の政治は任せたよ。私は1000年位寝るから」
「了解しました」
そして、これからの悪夢は幸せへと変わる。
ただずっと、死ぬ事の無い悪夢のような幸せな日々へと…。
私の日記はコレでお終いです。
この日記を貴方が読んでいるという事は、
私は死んでいるでしょう。
それが、寿命なのか、
はたまた殺されたのかは貴方の想像にお任せします。
「3世紀前の物だが、最近まできちんと保管されていた形跡がある。この人たちを探すぞ?良いな、鈴音?」
「OK。もちろんよ、破音」
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