ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 怖い話をしませんか? 参照150突破ですね… ( No.24 )
日時: 2010/06/18 19:41
名前: 桃井 ◆G5Umpuxr/Y (ID: MCeIcGNV)

  【第十五怪】  「クラスメート」

その少女は、高校2年生になった時に入院しました。

夏休みが終わり、2学期になっても彼女は登校しませんでした。

中間試験が終わった頃、彼女の友人の元へ電話がありました。

「明日、学校へ行くからね」

「もう、大丈夫なの?」

「うん♪」

その後は、他愛ない普通の会話が繰り返されました。

翌朝、少女は約束通り登校しました。

級友達は、彼女を温かく迎えました。

始業のチャイムが鳴り、担任の教師が教室に入って来ます。

教師は驚きに目を丸くしました。

「もう、いいのか!!?」

担任の教師が彼女の登校を知らなかったのです。

しかしまあ、高校生のことです。

そんなことは気にせず、時間が過ぎていきます。

ところが彼女、時間が過ぎるにつれ、どんどん血の気が失せていきます。

誰の目にも、彼女の体調が最悪であることは明らかでした。

担任の教師が早退を薦めたところ、彼女は素直に肯きました。

ところが「家まで送る」という担任の言葉を頑として拒否します。

立っているのもやっとの状態に見えるのに、その拒絶には強い意志が感じられたそうです。

それでも担任としては心配です。

取り敢えず車で駅まで送りました。

「このまま家まで乗っていけ」

と、また声をかけたのですが、彼女は拒否しました。

気迫のようなものがあって、それ以上無理強い出来なかったそうです。

彼女は定期を見せ、改札を抜けました。

(新しい定期、何時買ったのかな?)

そう思いながら見送っていた教師は目を疑いました。

すれ違う人が彼女を通りぬけていきます。

やがて、彼女は霞のように消えました。

教師は膝が震えました。

その場で彼女の家へ電話しました。

誰も出ません。

教師はそのまま彼女が入院していた病院へ車を走らせました。

少女は息を引き取ったところだといいます・・・

担任の教師は涙が止まりませんでした。

泣きながら学校へ戻り、クラスの生徒に事実を告げました。

教室には、ただ啜り泣きだけが響きました。