ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 怖い話をしませんか? 参照170突破ですね… ( No.28 )
- 日時: 2010/06/19 18:25
- 名前: 桃井 ◆G5Umpuxr/Y (ID: Qs8Z87uI)
【第十六怪】 「写るんです」
心霊写真というものがありますね。
これからのシーズン、また、あちこちの特番で色々出てくるんでしょうが、私はこれは本物だと言う心霊写真は3枚しか見たことがありません。
写真は誤魔化しが効くので、ネガと照らし合わさないと判断が難しい場合が多いんです。
大抵は、錯覚によるものが多いです。
私が見た本物の一枚は、誰に見せても心霊写真とは気付いてもらえませんでした。
若い男女8人と、品の良い老人が海をバックに微笑んでいる写真です。
実はこのご老人、この世の方ではありません。
写真の女性のおじいさんにあたります。
「ついて来てたのね」
・・・とその女性は笑っていました。
写真に映るのですから、当然、ビデオやフイルムに映るケースもあります。
事実、TVで放映されて、話題になったものもあります。
NHKの名曲アルバムには、息を飲むほど鮮烈な映像があるのですが、話題にならないのが不思議です。
友人が、「かぐや姫・ファイナルコンサート」のテープを持っています。
「私にも聞かせて!」という幽霊の声が入っているため、発売されなかったといういわくのあるテープです。
友人の家に10人程集まって聞いたのですが、誰かがコンサート会場に持ち込んだ、レコーダーで録音したもののようで、雑音が多いものでした。
ところが、問題の声はレコーダーの側で囁いたように明確に聞こえます。
面白いのは聞く人間によって、聞こえる声が違うのです。
「私にも聞かせて・・・」と、「私とっても苦しいの・・・」
そして、その両方が聞こえるという人の三つに分かれました。
その場は盛り上がったのですが、その晩に、5人が金縛りにあいました。
5人が5人とも絶叫を上げて金縛りから解放されたのですが、その絶叫が「私にも聞かせてぇ!!」だったというおまけ付きでした。
私は昔、小説を書いていた時期があります。
その小説をベースに後輩が自主映画を作製しました。
耽美な怪奇小説だったので、後輩達はわざわざ出るという噂のある廃寺で夜間撮影をしたのです。
スタッフによる完成試写会には私も呼ばれました。
アマチュアの作品としては、出来の良いものだったと思います。
もう一度見直した時、後輩達はこの撮影がいかに怖かったかを話題にしました。
“ラップ音がした”とか、“メイク用の鏡に女の幽霊が映った”という内容でした。
そのうち、映像にもなにか映っているんじゃないかと誰かが言いました。
木の影が顔に見えるとか言いながらはしゃいでいました。
「Sさん、どうですか?」
・・・と水を向けられたので、私は最初から気になっていた素朴な疑問を口にしました。
どの画像にも、左上の隅に小さな丸い黄色の光が映っています。
「あれは何だ?」
と尋ねると
「外灯でしょう」
と答えました。
馬鹿を言ってはいけません。
どのアングルにも定位置で大きさを変えずに映る外灯などあるはずがありません。
映像のセミプロである彼らがそれに気付かぬのはどうかしています。
私の指摘で彼らもその正体を突き止めようとしました。
クリエーターなら当然です。
幽霊役の女優の顔のアップを拡大して、それの正体は判明しました。
逆さまの中年女性の生首でした。
皆、言葉を失いました。
女性スタッフで、泣き出している人もいました。
特に気の毒なのはカメラマンでした。
彼は気付いたのです。
どのアングルでも大きさを変えずに定位置に存在した。
・・・ということは、その生首はカメラのレンズの縁から、カメラマンの瞳を覗いていたということなのです。
なお、生首に気付いてから、スタッフ全員がなんらかの心霊現象に遭遇しました。
気付かなければ起きなかったのかと思うと、気の毒です。
