ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 怖い話をしませんか? 参照200突破ですね… ( No.33 )
日時: 2010/06/23 15:43
名前: 桃井 ◆G5Umpuxr/Y (ID: QpYqoTPR)

  【第二十一怪】  「人形」

京都で、文楽人形作ってる人から聞いたのですが、人形は魂入れてから殺さなあかんそうです。

魂だけ入れてしまうと、人形は自分が“作り物”だという事が分からなくなるそうです。

そこで、魂入れてから、

「お前は人形やぞ。生きてるんと違うぞ!」

・・・と殺してしまうそうです。

確かに人形にまつわる話は、洒落にならないものが多いですね。

こういう話は手作りの人形だけのものと思っている人もいるでしょうが、必ずしもそう限った訳ではありません。

大量生産のビニール人形だって、怖い話はあります。

軽い話しか出来ませんが、二つお話しましょう。

結婚した友人夫妻から、新居に夕食のご招待を受けました。

2DKの、こじんまりとしたアパートです。

馬鹿話していたのですが、その友人夫婦が突然、

「この部屋、何か感じない?」

と言うんです。

心持ち顔が青ざめていました。

幽霊でもいないかと怖がっている様子です。

別段、何かがいる感じはしません。

そう伝えると、

「夜中にな、話し声がするんや」

と言います。

「ボソボソと低い声で聞こえるねん。台所から聞こえるんや。安普請やからお隣かと思ったけど、子供の声やねん。隣はお年寄りで早くに寝はるし、真夜中に子
供がボソボソ喋るはずないやろ?」

友人夫婦は、そう言って脅えます。

私は台所に入りました。

別段、何もいません。

只、天井に妙に暗い部分があるだけでした。

天井裏の配線なんかをいじるための、小窓を空けると、小さな段ボールの箱を見つけました。

埃をかぶり古ぼけています。

取り出して開けると、中にビニール製の女の子の人形が二つありました。

どこでも売っているシリーズ物です。

ただ、人形は二体とも顔が火で炙られて、黒く爛れていました。

友人夫婦は箱を空けたとたん、小さな悲鳴を上げました。

人形は私が持ち帰り、お寺で供養してもらいました。

その人形が何に使われたのかは、あまり考えたくないですね・・・・・