ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 怖い話をしませんか? 参照200突破&二十怪目突破ですね… ( No.35 )
- 日時: 2010/06/23 17:23
- 名前: 桃井 ◆G5Umpuxr/Y (ID: q0osNPQH)
【第二十二怪】 「ネックレス」の続きです。3000字以上でした。((汗
鬱蒼としたジャングル。
巨大な木の枝に寝そべりこちらを見つめるピューマ。
こめかみを抑えて座る私に
「どうしたの?」
とT嬢は尋ねます。
彼女はその気になれば、こちらの思考を読める人なので、包み隠さず今の幻影を説明しました。
T嬢はなるほどと肯くと、このネックレスを手に入れた経過を説明し、家へ来てくれと言います。
彼女の家は、むっとする気に満ちていました。
霊気とは、質が違いました。
妖気のように感じました。
T嬢は一日でこんなに出るのよと、ゴミ袋を見せました。
袋の中は、一メートル程の長さの髪の毛でいっぱいでした。
私は吐き気を覚えました。
風呂場へ駆け込んだ私は、湯船いっぱいに漂っている髪の毛を見て、たまらずに戻しました。
「肉がね、ついてるの」
T嬢は言います。
髪の毛は、肉団子状の核を中心にしているのだそうです。
その核は、生きているとT嬢は言います。
「それだけならいいのよ」
昨夜、彼女の別れた彼氏から馴れ馴れしい電話があったといいます。
今度は旅行でもしようという元彼氏に、
「なに考えてるのよ!!」
とT嬢は怒りました。
よくよく話してみると、元彼氏の家へT嬢が訪ねて行き、和解して一夜を過ごしたというのです。
無論、T嬢に覚えはありません。
「冗談じゃないわよ!」
とT嬢は泣きました。
T嬢に元彼氏と復縁する気は、これっぽっちもありませんでした。
「なにかに乗っ取られる気がするの」
T嬢は脅えていました。
しかし、彼女の手におえぬ物を私が何とか出来るはずもありません。
私は、ネックレスを手放す事を薦めました。
「これは、私の所で止めないと大変な事になると思う」
T嬢はそう言います。
私は高野山の師匠に連絡することを約束して、家路につきました。
そして、私は原因不明の発熱に見舞われました。
師匠は、神戸の実家におられました。
すぐ来いとのことなので、T嬢の車で夜の高速を飛ばしました。
途中、怪異に襲われ続けましたが、グロいので描写は避けます。
ただ、何かの力で走行中の車が宙に持ち上げられた時は死を覚悟しました。
師匠は水晶によるヒーリングで、私の熱を下げてくれました。
T嬢は、一週間師匠の下で過ごしました。
その間、何があったのか私は知りません。
今も、T嬢はそのネックレスをしています。
彼女の能力は飛躍的な進歩を遂げ、雰囲気も近寄りがたいものになりました。
彼女は会社を辞めて、師匠のお寺の事務をしています。
時々、師匠の紹介で預言をするようですが、噂でははずれたことがないそうです。