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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜シャットダウン〜 ( No.1 )
- 日時: 2010/04/03 15:33
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
Episode1-1 [プロローグ]
東京の夜、ネオンで輝くこの都市は日本で一番きれいな場所である。
車道を車が走り抜け、歩道を若いカップルやサラリーマンが歩いている。
そんな光景とは裏腹に、一本の路地裏に入ると一人の男性が壁に寄りかかり何かに恐れていた。
男は携帯電話の相手に脅えているようである。
「お、俺は無理だ!!絶対に協力しねぇぞ!!!」
男は相手の返答も聞かずに携帯を閉じると、地面にたたきつけた。
携帯は音をたてながら、ゴミ袋とゴミ袋の間に姿を隠した。
「俺は・・・何も・・・・・」
男は同じ言葉を呟きながら路地を出ると、そのまま人ごみの中へと姿を消した。
**********
翌日
東京 世田谷区 住宅街
屋根の色だけが違う、同じ2階建ての家が並ぶ住宅街。
赤色の屋根をして目立っている家に、この物語の主人公はいた。
「千種!!起きなさい!!!」
2階の奥部屋に、母の智子の声が響く。
「起きてまーす。」
髪がボサボサの傘橋千種は明らかに寝起きなのに嘘をつく。
「遅刻するわよ。」
智子はそう言うとドアを閉めて一階へと戻って行った。
千種はベットから起き上がると、窓のカーテンを開ける。
まぶしい日差しが入り込み、千種の目を一瞬で覚ました。
しかし、千種の目が覚めた理由はそれではない。
「・・・前田・・・七海・・・・」
千種の向かいの家から一人の女の子が出てきた。
前田七海は千種の通う中学校の生徒であり、千種と同学年の女の子である。
「・・・・かわいいなぁ。」
千種は慌ただしく走っていく七海に見とれていた。
「なに急いでんだろう?」
千種はふと、時計に目をやる。
時刻は8時23分。
「は!?」
教室には後2分で入らなければならない。
だが、まだパジャマ姿で自宅の中。
「・・・・遅刻。」
千種はそうつぶやくと、トボトボと一階へと降りた。
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