ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜シャットダウン〜Escape nine’s更新♪ ( No.23 )
- 日時: 2010/04/18 12:11
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
Episode2-2 『忍び寄る影 軍の恐怖』
千種、秀一ペアの現在地
逃亡生活に入り2日、この2人は未だに世田谷区の空き家にいた。
服、食料はどうにか調達し、これからのことを話し合っていた。
「秀一、これからどうする?」
青いジーパンに黒い長袖シャツに着替えた千種は聞く。
「とりあえず、移動した方がいいだろ。もっと安全なところに身を隠さないと・・・。」
千種と同じ服装に、上から黒い革ジャンを着ている秀一は言った。
千種は立ち上がり、ドアの隙間から外を見る。
住宅街のど真ん中だが、そこまで人気はない。
平日ということもあり、ほとんどの家が外出中だろう。
「行くなら今だ。とりあえず、俺の家に行こう。」
「は?どうせ警察が張り込んでるぜ。行けば思うがままだ。」
秀一の言葉に、千種は言い返せない。
しかし、千種はドアを開けて秀一の方を向いた。
「俺は行く。逃げるのは嫌だ。それに、本城も逃亡の身なんだから、あいつを探し出して父さんの仇を討つ。」
千種はそう言うと、空き家から出て行った。
一人残された秀一はその場に座り込み、食料の中のお菓子に手を伸ばす。
「勝手にしろ。」
秀一はドアの方を向いて、千種が戻ってくるのではと思いこんでしまった。
だが、それから何時間経ってもドアが開くことはなかった。
**********
校長、鏡矢、七海ペアの現在地
3人は校長の車で北海道へと移動中だった。
すでに東京を越え、神奈川の某高速道路を走行していた。
「校長、そろそろ休みませんか?お昼時ですし。」
「そうだな。次のエリアで昼飯にしよう。」
「やったーぁ!!」
七海はずっと運転をし続けている校長よりも喜んだ。
鏡矢はそんな七海を見て首を傾げる。
「お前、一応俺らは逃亡犯なんだから、あまり派手な行動はするな。それに、前田はアイドルなんだし顔を9人の中で一番知られている。」
「大丈夫だって、心配性だな〜ぁ。連堂君は♪」
七海の言葉に2人はため息をついた。
完全に七海は旅行気分だ。自分の置かれている状況を理解していない。
3人はサービスエリアに入ると、なるべく出口に近い場所に車を止めた。
「金を渡すから、2人で好きな物を買ってきなさい。ご飯は車の中で食べよう。」
「はーい!!」
七海は校長からお金を渡されると、すぐにお店の方へ走って行った。
「校長は行かないのですか?」
「私は休むよ。適当に買ってきてくれ。」
「分かりました。」
鏡矢は車を降り、七海を追いかけるようにして店に入った。
車内に一人残された校長は、窓から外の景色を覗う。
空は青く、雲ひとつない快晴だ。
「・・・慶介。」
校長が本城の名前を呟いた瞬間だった。
「やあ。本城正信学校長。」
何の前触れもなく、後部座席から聞こえる男の声。
校長は驚き後ろを振り向こうとした。
「おっと、後ろは振り向かないで。振り向けば撃ちますよ。」
男は校長の後頭部に拳銃を突きつけた。
校長はミラーで男の顔を確認しようとするが、口から上は見えない。
「何者だ?息子の仲間か?」
「いえ、彼の仲間ではない。警察でもないから安心してください。」
校長はその言葉に、口を開けポカンとした。
「そ、それじゃあ・・・誰だお前は?」
「ふふふっ。簡単にいえば、第3者かな。あなたの暗殺を命じられてる。」
男は引き金に指を置く。
校長は何もできず、ガクガクと震えていた。
しかし、最後に勇気を振り絞って男に質問する。
「名前は・・・・何だ?」
男は校長の質問にニヤリと不気味に笑った。
男は校長の耳元に口を近づけ、ぼそりと言った。
「私は、パーミュテーション。・・・・・・に雇われた12人の一人だ。」
「なに!?」
パシュ!!パシュ!!
パーミュテーションは校長に何か聞かれる前に、銃の引き金を引いた。
銃は消音銃のため、周りには音が漏れておらず、誰にも気づいていない。
パーミュテーションは携帯を取り出すと、警察に電話をかけた。
『もしもし、匿名でお願いします。逃亡中の犯罪者が某サービスエリアにいます!!早く!!』
『わ、分かりました!!いますぐ応援を呼びます!!』
パーミュテーションは電源を切ると、校長の顔を見る。
「あの2人も捕まるよ。さようなら、校長♪」
パーミュテーションは車を降り、その場を後にした。
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東京 国会議事堂内 総理大臣専用ミーティングルーム
現日本総理大臣の愛本駿太郎50歳は椅子に座り、台本を呼んでいた。
「失礼します。」
愛本の後ろから、ドアが開き一人の女性が現れた。
スーツに黒いロングスカートでスタイルの良い女性は愛本の隣まで来る。
「調子はどうだ?」
「石田悠、本城正信は殺害完了。残りは7人です。」
「そうか。後は傘橋千種と本城慶介、邪魔であれば残りの逃亡犯も殺せ。期待してるぞ、ベータ。」
愛本の言葉にベータはお辞儀をすると、その場を後にした。