ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜シャットダウン〜Episode2完結間近♪ ( No.35 )
- 日時: 2010/04/27 18:47
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
Episode2-9 『デルタとアファイン』
東京 お台場 テレビ局付近
遠藤は真昼間に人気の多い道を駆けていた。
「遠藤!!止まれ!!」
遠藤の後ろからは複数の警察が追いかけてくる。
「はぁはぁ・・・・」
遠藤はどうにか巻こうと角をたくさん曲がる。
しかし、時間が経つにつれて警察の方は数が増していた。
「くそっ!!」
遠藤は車道に出ると、辺りを見渡す。
道を歩いていた一般市民は、遠藤を見ると驚きの表情を見せる。
「待て!!」
「早いんだよ!!」
遠藤は歩道橋を上がり、向こうの道へと渡ろうとする。
階段を上がり、一気に走ろうとしたその時だった。
「遠藤!!」
遠藤の前から神永が銃を構えて現れた。
「ちっ!!」
遠藤は後ろを振り向き逃げようとするが、後ろからは5人の警察が警棒を持って立ちはだかる。
そして、歩道橋の周りにパトカーと警察が次々に集まり始めた。
「遠藤、ここまでのようだな・・・」
神永は銃を腰にしまうと、手錠を出して遠藤に近づく。
その時だった。
「すまない、石田・・・・・」
遠藤は歩道橋の手すりに立ち、両手を大きく開く。
そう、遠藤は自殺を図ろうとしていた。
「な!!と、止めろ!!」
神永は5人の警官に指示を出し、警官たちが一斉に遠藤を抑えようとする。
が、遠藤はその瞬間に歩道橋から飛び降りた。
「すまない・・・石田・・・・・」
**********
東京 名もなき山の中
鏡矢と七海は東京の県境にある名もない山の名もない道を歩いていた。
高速を沿って歩いていたが、途中で見失い今は完全に迷ってしまっている。
「・・・これからどうすんの?」
「今考えてる。」
鏡矢はこの窮地をどうやって抜けるか考えていた。
鏡矢は辺りを見渡しているうちに、ある物を見つけた。
「公衆電話だ。」
鏡矢は公衆電話まで歩くと、中を覗く。
勿論、人はいない。周りは草で囲まれており、かなりの間使われていないようだ。
「公衆電話なんてあるんだ・・・。そうだ!!これで助けを呼ぼうよ!!」
七海は鏡矢に言うが、鏡矢は首を横に振った。
「ダメだ。どうせ、どこに電話をかけても警察が盗聴している・・・。警察・・・」
鏡矢の頭にとある提案が思い浮かぶ。
しかし、この提案は一人の犠牲がいる。つまり一人しか生き残れない。
方角がわからない以上、逃げる術もない。
鏡矢は七海を見ると、七海の肩をつかんだ。
「な、なに?」
「自首する。」
「え!?」
七海は鏡矢の予想外の言葉にかなり驚く。
「どうして!?意味分かんないよ!!」
「警察が来た方向が恐らく東京だ。それで方角を確かめる。」
七海はその提案に一つ疑問が浮かぶ。
「でもさ、電話して隠れていれば自首しなくても・・・」
「こんなところだ。奴らは警察犬を連れてくるはずだ。俺一人でいれば周辺を探すことはない。俺が身代わりになり、お前は陰で見ていろ。行った後に、お前はタイヤの跡を追って東京に戻れ。」
鏡矢はそう言うと、公衆電話に手を伸ばした。
七海は首を横に振り、それを拒否する。
『もしもし警察ですか?』
『そうですが・・・』
『現在逃亡中の連堂鏡矢です。自首します。』
鏡矢は受話器を置くと、七海の顔を見る。
七海は涙を流し、鏡矢の手をつかんだ。
「やだよぅ・・・ここまで一緒だったじゃん・・・」
「これしか方法がない。お前はそこらへんに隠れろ。」
鏡矢は七海を連れて、ある程度離れた木の裏に隠れさせる。
七海は鏡矢の手を強くつかみ、首を横に振った。
「行かないで・・・・」
「大丈夫だ。事情を話せば、みんなまた会える。」
鏡矢がそういった瞬間、遠くから車の音が聞こえてきた。
鏡矢は七海の両目を見ると、力強く頷いた。
「じゃあ、そこで待ってろ。」
鏡矢は七海の手を外すと、道に戻る。
七海は陰から鏡矢を見つめていた。
数分経ち、車の音がかなり近くまで聞こえてくる。
「あれか・・・。」
鏡矢は前から来る車を見て行った。
だが、ある異変に気付いた。
「ん?」
車はパトカーではなく、黒い大きなバンだ。
黒のバンは鏡矢の前で止まると、後ろの扉が開く。
その瞬間、鏡矢の表情が凍りついた。
遠くで見ていた七海は、鏡矢の表情をしっかりと見ている。
「なにかあったのかな・・・。てか、警察?」
七海は覗こうとするが、どうにも見えない。
車の扉が邪魔になり、鏡矢の目の前に現れた人物が見えないのだ。
「誰?」
七海はギリギリまで動き、扉の向こうを見ようとする。
その時だった。
バン!!
突如、一発の銃声音が山に響き渡った。
それと同時に、鏡矢がバタリと倒れて黒いバンは素早く違う道に消えて行った。
「そんな!!連堂君・・・あっ!!」
七海が飛び出そうとした瞬間に、パトカーが4台現れた。
中から警官が飛び出し、倒れている鏡矢に近づく。
一人の警官は鏡矢の首に指を置くと、ため息をついて首を横に振る。
その瞬間に、七海は悟った。
鏡矢は_____殺された_____
**********
鏡矢を殺した人物を乗せたバンは、違う道から車道に出た。
運転をしているのはログ。助手席にはトゥーダッシュ
が座っている
さらに、後ろの席にはアルファに玲奈、ベータとパーミュテーションが座っていた。
「しかし、お前よく殺せたな。」
ログが運転しながら誰かに言う。
「ベクトル。これならシグマ大佐や総理も君を見る目が変わるぞ。」
パーミュテーション達のさらに後ろに座る人物、ベクトルは無言で言葉を受け流す。
ベクトルの顔は車内の暗闇で見えない。
ベクトルのほかにも、2人の男性が座っている。
「デルタ、アファイン。お前たちには今後、我らに協力してもらうからな。」
パーミュテーションがデルタとアファインに言う。
髪が長く、腰に刀をつけているデルタはアファインをチラ見した。
髪を白く染めてガムを噛んでいるアファインはため息交じりに言う。
「俺らはあくまで、あんたらの失態を流すために配属されたんだ。部下と見られては困る。」
パーミュテーションはその言葉にカチンとくる。
さらに、アファインは追い打ちをかける。
「それに、あなたは副リーダーから工作員になったんだ。これからはトゥーダッシュ副リーダーの指示を聞く。」
アファインはパーミュテーションに嫌みを込めて言った。
パーミュテーションは怒りを抑え冷静にアファインに言い返す。
「まあ、次の作戦は我々だけではできないからな。」
世界征服_____