ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜シャットダウン〜Look the life ( No.6 )
- 日時: 2010/04/24 20:20
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
Episode1-3 『オカルト部部長 連堂鏡矢』
村田学園
チャイムと同時に千種は自分の教室へと駆け込んだ。
1時間目がちょうど終わったらしく、運良く自習みたいだ。
「はぁはぁ・・・・」
千種は息を荒げながら席に座ると、鞄を机の上に置きため息をついた。
今も見えているのだ。生徒、職員、ましてや池の鯉。
とにかく、生きている物体すべての頭上に数字が浮いてある。
「おいおい。まあ遅刻かよ・・・」
呆れ果てながら、千種の親友の山本秀一が近づいてきた。
「・・・・・・・」
「何かあったのか?」
秀一は千種の顔を見ながら感じ取った。
千種は秀一の方を見るが、秀一の頭上にも7ケタの数字が浮いてある。
視線はそちらに向いてしまう。
「おい!大丈夫か?」
「やばいかも・・・早退するわ・・・・」
千種は鞄を持って教室を出ようとする。
しかし、すぐに秀一が千種を止めた。
「ちょ、マジで何があったの?」
「信じないだろ・・・」
「信じるよ。長い付き合いだろ?」
秀一は笑顔でそう言うと、廊下の窓に千種を連れていく。
千種は一旦、秀一の顔を見ると深呼吸をして話し始めた。
「実はな・・・俺の目・・・」
5分で千種は秀一にいままで起きたことを話した。
秀一は最初ポカンとした表情でそれを聞いていたが、次第に顔色が変わり始めているのが分かった。
千種は話終えると、自分の目を擦りため息をついた。
「・・・そうか。とりあえず、病院に行っても無駄そうだなよな。」
「大人が信じるかよ。」
「・・・オカルト部にでも行ってみるか?」
ふと、秀一が千種に薦めた。
すると、千種は秀一の方を向いて首を横に振る。
「あいつの頼む気か!?俺は死んでもお断りだよ!!」
「でもさ、連堂ぐらいしかまともに聞いてくれないと思うぜ。」
確かにと、千種は心の中で思ってしまった。
千種は髪をくしゃくしゃと掻くと、連堂の顔を思い出す。
連堂鏡矢、千種が小学5年生の時に出会ったオカルト好きの少年だ。
髪は肩まであり、黒ぶち眼鏡をかけて見た目は近寄りがたい存在の男だ。
見た目もびっくりするが、本当に驚くのはここからだ。
成績優秀、運動力もかなり良い。
そんな鏡矢を見て、当時の千種は思わず嫉妬してしまった。
そして、とある事件が起きた。
あれは小学6年生の時に起こった事件だった。
「傘橋君、ここ分かる?」
当時の千種は運動力は誰にも負けなかったが、成績はクラスでビリであった。
おそらく向こうも千種に嫉妬していたのだろう。
鏡矢はわざと千種に難しい問題を聞いてきた。
無論、千種に分かるはずがない。
「あ!ごめ〜ん、君には無理だね!」
「あ?ふざけんな!!!!」
_______
あれから2年ぐらい経つが、あれ以来2人は敬遠の仲状態。
千種は今も鏡矢のことが嫌いだ。というより、関わりたくない。
「・・・でも、それしかないよな。」
「きまりだな。放課後行こうぜ!!」
秀一はなぜか笑顔でそう言うと足早に教室へと戻って行った。
秀一は昔から面倒事にすぐに首を突っ込みたがる。
「一体、俺に何の恨みがあるんだよ・・・」
千種は空を見上げながら言うと、教室へと戻って行った。
**********
放課後
帰りの会も終え、教室に残ったのは千種と秀一。
廊下にも生徒や職員はいないが、ほかのクラスからはまだ話声が聞こえる。
「そろそろ行くか?」
「そうだな・・・」
千種は重い足で教室を出た。
オカルト部は校舎内の1階奥にある。
2人は1階に着くと、すぐ様オカルト部を目指した。
オカルト部の入り口はカーテンが閉められ、中は見れない。
しかも、校舎の横には琴川という大きな川が流れており、その方向しか窓が設置されてないため中を覗えない。
2人は入口の前に着くと、秀一が千種を見た。
「お、俺がノックすんの?」
「お前の問題だろ。ここはお前がしろ。」
千種は秀一の言葉を言い返す気力もなく、ノックをしてドアを開けた。
するとそこには、思いもよらない人物がいた。
「え?」
テレビでアイドルとして現在ブレイク中の女子生徒、前田七海がいたのだ。
さすがに秀一も唖然としており、それ以上に千種も驚いていた。
七海は部長席に座っている鏡矢に封筒を渡すと、2人を通り越して部屋を出て行った。
鏡矢は立ち尽くしている2人に気がつくと首を傾げた。
「なんだ?」
「え?お前と前田ってどういう関係?」
秀一が好奇心で鏡矢に尋ねる。
「依頼だ。それ以上は話すことはできない。用件は何?」
その言葉に千種は我を戻し、鏡矢の前まで歩くと足を止めた。
「どういう関係だ?」
「は?」
千種は自分のことより先ほどの光景についての質問をしていた。
秀一はなんとなく千種の行動にガッツポーズ。
「依頼って言ってるだろ。別に何の関係もない。」
「依頼はなんだ?」
「用件はなんだ?用がないのなら退室してくれ。」
鏡矢は冷静に千種を追い返そうとする。
しかし、鏡矢はため息をついて持っていた封筒を引き出しにしまうと千種に話しかけてきた。
「俺に頼るのは何かあったんだろ?なんだよ。」
「・・・・」
千種は鏡矢の前に立つと、今日起きた出来事についてすべて話し始めた。
しかし、千種と秀一の判断は間違っていた。
再び鏡矢と話した時点で______
鏡矢にも不運が訪れるとは_____
そして、秀一にも______