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Re: 〜シャットダウン〜Look the life 4話うp♪ ( No.8 )
日時: 2010/04/07 12:24
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

Episode1-5 『集う者たち』

翌日

村田学園東門には生徒や職員がおらず、門もかなりさびていた。
そんな人気のないところに、変わった服装をした男がいた。
この夏に足まである黒いコートに黒い野球帽。
男が門の前に立っていると、昨日遠藤を襲った男が現れた。
「おい!!一応やっておいたけどよ、俺はもうごめんだぜ!!」
ショートヘアーで今風の恰好をした河原隼人は全国指名手配中の本城慶介に言った。
「無理だ。お前は俺を助けたのだから同罪なんだ。もし、裏切るならお前のことを警察に突き出してやる。」
本城の言葉に河原を舌打ちをした。
河原は地面を蹴ると、本城の顔を見る。
「これから何すんだ?」
「この学校に潜入して、校長を殺す。」
「はぁ?」
河原は本城の言葉に驚き、一瞬動きが止まった。
河原には本城がなぜ村田学園の校長を殺すのかが分からない。
「なんで?意味ねえだろ?」
「村田学園中等学校6代目校長は、俺の父。本城正信だ。」
「・・・・なんで、殺すんだよ?」
河原が本城に聞くと、本城は校舎の方を振り向いた。
「あの父親は、俺の人生をぶち壊したんだ。復讐のために、材料が必要だ。どうせ復讐するなら、遠藤刑事をどん底に突き落としてやる。」
本城はそう言うと、門を乗り越えて学園内に入って行った。
河原も急いで後を追いかけ、門を乗り越えた。

**********

朝一番のクラス内で登校してきた千種と秀一は急いである所へ向かっていた。
千種は昨日、鏡矢にもらったファイルを持って校長室に向かう。
「まさか、千種の親父さんや校長が関わるとはね。」
秀一は苦笑いをしながら言った。
千種もはっきり言って昨日のことを受け止めることができなかった。
「校長が、現在指名手配中の犯人の父親とは・・」
しかし、考えると一つの疑問が浮かぶ。
そんな大事件が起こって、なぜ校長は事件に少しも関わっていないんだ?
1年前のことなら、テレビで校長が映っていれば鮮明に覚えているはず。
「・・・待って。おかしいよこれ。」
千種は足を止め、ファイルを開く。
秀一も足を止め、ファイルを覗きこんだ。

‘丸山銀行を襲った凶悪犯 本城慶介’
12月1日、午前10時に本城慶介容疑者が丸山銀行を襲う事件が起こった。現場には銀強員の傘橋省吾さん、同じく銀行員の本村啓さん。来店していた片山葉奈歌さん、河原隼人さん、矢部加奈子さんの5人がおり、その内3人が本城容疑者に拳銃で撃たれ死亡。死亡したのは傘橋省吾さん、矢部加奈子さん、片山葉奈歌さん。犯人はその後700百万を奪い逃走しており、現在も捕まっていない。警察内では海外逃亡したときのために、FBI日本支局に応援を求めている。指名手配犯逮捕協力を市民にも呼び掛けている。

新聞の切り抜きの横には、本城慶介の顔写真も貼られてあり、パッと見はモデルの様な顔立ちをしてをしている男である。
が、本城こそが千種の父親を奪った張本人である。
「・・・俺はどっちでもいいぜ。」
秀一は立ち止まっている千種に優しく声をかけた。
「父さんが死んだ以来、警察になって犯人を捕まえようと思っていた。校長に話を聞いて少しでも情報を得よう。」
千種はそう言うと、秀一とともに校長室へと向かった。

**********

オカルト部部室にそのまま来た鏡矢は鍵を開けて部室に入った。
鏡矢は部長席にかばんを置き、昨日前田七海からもらった封筒を取り出した。
「しかし、俺にこんなことを頼まれてもな・・・」
鏡矢は封筒の中身を取り出し、ため息をついて紙を開いた。
中身はストーカー行為について書かれている内容であり、なぜか鏡矢に頼み込んできた。
「あのアイドル、俺を探偵と勘違いしてんのか?こういうのは校長に出しとくか・・・」
鏡矢は時計を見て自分の行動に失敗したと思った。
現在は8時前。まだ校舎内は閑散としている。
「前田はまだ登校してないだろ。」
鏡矢は封筒を持って、校長室へと目指したのだった。