ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 旅人ノ街【ツドイマチ】 ( No.143 )
- 日時: 2011/01/25 23:07
- 名前: 譲羽 (ID: vehLH22f)
【55】
『七テクちゃん?本当にそれってできるの?』
胸を反らしていう七テクちゃんに単純な疑問を投げかける。
もしかしたら見栄を張っているだけという可能性をどうしても捨てきれない。
『出来ル。実際二七テク行キ来シテル』
こっちに来るだけで消耗しちゃって“詩句”に見つかって戻されるんだけどね
と七テクちゃんは濁した。
『つまりそれって七テクちゃんの力じゃなくて“詩句”さんの力を利用して戻ってるんだよね?』
七テクちゃんは頷く。
『デモ、七テクを思ッテクレテイル人…鏡中居る!…イツモ眠ラセテルケド、起コセバソコ二七テクハ存在出来ル!』
思ってくれる人が居ればそこが居場所になるというのはよくある話だ。
=空間を自動的に移動できるということだろうか?
まぁ、よくわからないけど、訳分からないことに知恵を絞っても頭が痛いだけなのでここは七テクちゃんにお任せしよう。
不備があればまたいってあげればいいのだし。
『じゃあ早くした方がいいね。“詩句”さんに見つかると厄介だし』
七テクちゃんはコクッと頷き再び目を閉じた
『遠隔操作準備完了…対象之束縛解除…続…通信…』
ちょっと待て待て!これってもしや続けてリコリスさんの方へ移動するって事だよね?
七テクちゃんだけ移動しても困るので僕はそっと手を掴もうとした。
だが、ふっとさっき肩を揺らしたために強制的に失敗した事を思いだし躊躇する。
七テクちゃんの着るワンピースの裾を掴むのは気が引けたのでツインテールをとめているリボンをそっと掴んだ
その瞬間
『完了。移動開始。』
『!!』
いきなり下に穴が開いた
避ける暇もなくおちていく。
重力あったんだなぁここにもなんて暢気に思う暇もない
あまりにもスゴいスピードで急激に圧力がかかっているのでなんだか気持ち悪くなってきた。
七テクちゃんはいつもこんな移動なのだろうか?それとも僕もいるからだろうか?
突然横に曲がったり、突然上に上昇したり。
いきなり方向転換の多い空間へと入ってしまった。相変わらず周りは黒く塗りつぶされ、先も真っ暗なので次の方向転換への心の準備もできない
果てしなくこの移動が続くと思った瞬間いきなり鏡が割れるような音がした。
それはどこまでも響く悲鳴のような音
双竜を殺した時のように破片が目の前から襲いかかってくる
それを避けようと手で目をかばった途端。いきなり周りは明るくなった
「お久しぶりですね。詩句さん」
目の前に現れたのは紫ローブを羽織り、金色の目を輝かせるリコリスさんその人だった。