ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 旅人ノ街【ツドイマチ】 ( No.46 )
- 日時: 2010/07/14 18:34
- 名前: 譲羽 (ID: fgNCgvNG)
【15】
それからボクは毎日図書館に通うようになった。
胎無さんも忙しいからいつもボクといることはできないけど、静かな空間で本を読んでいると異世界に行った気分になれたから。
「また行くんですかぁ? たまには柊の手伝いもしてくださいよぉ」
ある日、柊さんは図書館へ行こうとするボクに言った。
「何かお手伝いすることがあるんですか!!」
ボクは眼をキラキラさせていった。
リコリスさんも御影さんも雅焔さんも蓬さんもいてまだ人手が足りないのだろうか。
もし足りないなら手伝いするのはボクの義務だ。衣食住やってもらってるんだし。
役に立てるなら何でもやりたい!
「……ないんですよねぇ。それが。でも紅茶ぐらいいれてほしいですねぇ。」
「……さっきいれたばっかりですよ。」
「そうよ柊! あんたには私がいるでしょう? きゃ!!」
蓬さんが柊さんに飛びつくがかわされる。
「今日図書館に行ったらご飯抜きですよぉ…。」
どうやら柊さんはボクに図書館に行ってほしくないみたいだ。
やや、幼稚な事を口を尖らせていう。
「あはは。柊さんボクを餓死させないように今日もちゃんと用意しといてくださいね!」
「………。」
柊さんは口を尖らせたままだ。
「まっかせといて!! さぁ柊。私が紅茶をいれてあげる! それにケーキも焼いてあげるわ!!」
柊さんのかわりに蓬さんが答えた。
「いってきます!」
ボクは笑っていった。
図書館に行く途中の散り逝き通りでキャンディを舐めている雅焔さんに出会った。
「やあ詩句さん! 元気? 最近本の虫になっちゃたんだって?」
「本の虫は言い過ぎですよ。柊さんが寂しがってましたけどね。一緒に来ればいいのに」
「へぇ。そういえば詩句さんはまだ何も知らないんだよね。忠告を1つ。柊さん達の名前をそんなに軽く言っちゃだめだよ。」
「えっ!?」
雅焔さんがいう知らない事っていったい何なんだろう。忠告の意味は?あまりにも疑問が多いのでわからない。
「ううん。なんでもないよ今のうち謝っておくね。ごめん。」
「……な、何のことですか?」
「そのうちわかるよ。この世は弱肉強食。生物は何かを殺し食べないと生きていけない。ただし、“人間は害虫も排除する”ね。これはまぁ……言い訳だよ。うん。」
そう言い残して雅焔さんは手を振りながら去っていった。
なんのことかわからなかったけど聞くことはできなかった。
今手元にお菓子はなかったから。