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Re: 旅人ノ街【ツドイマチ】 オリキャラ募集—先着3名様 ( No.60 )
日時: 2010/05/02 21:11
名前: 譲羽 (ID: M2SneLVI)

【20】
「いらっしゃーい」

連れてこられたところは酒場だった。まだ昼なのになんだか賑わっている。お酒の匂いがすごい…。

「よっ!」

御影さんはテーブルに1人いる男に話しかけた。

「あ?紅の坊主じゃないか!さっきいたよな?戻ってきたのか?」
「あぁ。連れを連れてきたんだ。」

そう言ってボクの方を指さす。

「なんだなんだ?どこの女だ?」
「ボクは詩句です。これでも男なんですけど…。」

…やっぱり髪長いせいだ。

「男!?顔も綺麗だからてっきり女だと…。」
「あははははははは。詩句。こっちはホトソン・ジョーンス。俺のダチの独りだ。」
「ホトソンさん?よろしくお願いします」

すっごく鍛えてある肉体が男らしい。御影さんや柊さんがすっごく弱そうにみえる…。
歳は30ぐらいだろうか? 飲み友達もいたんだなぁ。御影さん。

「おぉ。よろしく!お前こんなところに来て大丈夫なのか!?すっごく顔色悪そうだけどよ?」

確かにこの時ボクはすっごく青白い顔をしてたんじゃないだろうか。お酒に負けて…。

「ホントだな!傑作だ!!あはははははは。詩句が将来楽しめるように連れてきたんだがなぁ。ほら、克服するためにさぁ」
「いやぁ、別に酒だけが楽しみじゃないぜ?坊主。心配するなよ?紅の坊主は飲んでろよ。ほらおごってやるからさ」
「マジで!?サンキュー!旦那。じゃ、詩句。俺遅く帰るって柊に帰ったら言っとけよ!」

そういうと御影さんは店内の奥へ奥へと入っていった。

本当に頭がくらくらする…。

「あ、あの…早く…もうダメ…」

ボクはあまりの頭の痛さに気を失ってしまった。

ボクが目を覚ますと、あの時のようにベットに寝かされていた。

「お!大丈夫か?坊主は相当酒が苦手なんだな」

あの時と違ったのは目の前にいたのがホトソンさんだったことだ。

「すいません…あの…ここは?」
「俺の砦でもある、経営してる宿屋さ。今日は客もいないからゆっくりしてきな」

結構綺麗だ。見かけによらず綺麗好きなのかな?

「あの!すいません!ホトソンさんもお酒飲みたかったでしょうし…」
「いや…俺は酒は飲めねんだ。お前と一緒さ」
「えっ?じゃあ何であんなところに?まさかボクと一緒で克服するために…?」
「はははははははははははそんなんじゃねぇさ。ただ、賑やかな話を聞くのが俺は大好きなんだ。悲しい話でもいい。そんなの酒の力で、みんなで笑い飛ばしてやれるからな」

…いい人だなぁ。気さくで頼りがいのある人って感じだ。

「なんか手伝うことありませんか?ボク恩返ししたいんです!!」
「恩返し?無理すんなよ。だいたいこの宿は俺のおかげでいつでも準備万端だ!!」

冗談だと思ってるみたいだ。

「冗談じゃありませんよ?本気です!」

ホトソンさんは悩んでいる…。

「じゃあ俺の恋路の相談に乗ってくれよ」

恋路?恋?…ボクはこの前のことを思い出す。

はっきり言ってもう恋はうんざりだ。ボクにはそっち系の才能もないみたいだし…。

「いえ…あの恋は…」
「お前の気持ちはよくわかるよ。俺はもう29歳。そんな歳で恋バナかっていいたいんだろう?」

断るか迷ってたら別の意味にとられてしまった…。ホトソンさんの話は続く…。

「向かいに花屋があるんだよ。たくさん綺麗な花が置いてあってな、眩しいくらいなんだよ。だが俺はそんな花よりもそこの店員の嬢ちゃんが好きでよぉ。すっげぇべっぴんさんなんだぜ?俺がもう少し若ければすぐ告白してたんだがなぁ…。」

ボクはうなずくことしか出来なかった。でがオチは分かった気がする…。

「俺はもう30近い。だがあの嬢ちゃんはまだ20いってない感じなんだよ。周りの噂じゃあそろそろ18の誕生日らしい。」

じれったいなぁ…。ボクも大人になるとこんなにいろいろ考えるようになるのだろうか?

「わかりました…ボクが帰りに偵察にいってきます…。」

思わずそう言ってしまった…。

「ホントか!?頼むぜ!」

…もう戻れない。

「そ、そのかわり結果は明日ですよ?」
「あぁ。ただ俺のことは何も言わないでくれ。最終的には自分で告白したいんだ!それと、紅の坊主には内緒な?」

男の浪漫ってやつなのかな…?ボクには到底分かりそうにないなぁ…。

「…わかりました。今日はありがとうございました。では明日」

ボクはそう言って宿をでた。