ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 旅人ノ街【ツドイマチ】  ( No.69 )
日時: 2010/05/04 13:49
名前: 譲羽 (ID: M2SneLVI)

【22,5?】
私は今花屋の中の大きな花瓶に隠れてる。詩句の話だと今日エルザに告白しに来るらしいから。まぁ成功すればだけど…。

先輩としてできれば変な虫はついて欲しくない。幸せになってもらいたい。

願いの叶う涙何て知らない!変なヤツだったら邪魔してやるつもりだ。

「あの。フローラさんだよ…いやですね?」
「はい…そうですけど」

どうやら来たようだ。少し花瓶から顔をだす……—

筋肉美な30程の男。顔は中のぎりぎり上?なんだか少し暑苦しそうだなぁ。やっぱり私の好みは柊のような細身でいつでも笑ってくれる人。それで笑い顔もとってもかわいくて……—

柊に逢いたくなっちゃったなぁ。今さっき逢ったばっかりなのに…。

「あの…俺とつき合ってくれませんか?」
「え?あ、あの…私は…。」
「俺、前々からずっと好きだったんです!話したこともないしあなたのこと何も知らなかったけどずっと!!」

んん…今のはイマイチかな?ストーカーっぽい…。

「すいません。急にいわれても。名前もわかんないし…」
「ホトソン・ジョーンスです!もう少しで30になります!!」

上がってるわ…ダメね断るわよ、彼女。柊ならこういうミスを呑気さでプラスにかえるわね……—。

「すいませんお断りします。。私、貴方のこと知らないし…。」
「そうですか。すいませんでした」

あーあ。相当がっくりきてる…。あんなに顔下に向けてうつむいちゃって…。背ぇ向けた。帰るのね…楽しくなかったなぁ。

「!!待ってください!その傷は…?」
「…これですか?これは昔戦場で…。」
「どういう人でしたか!?何でやられました!?」

何このエルザの積極性!?一体どうしたのかしら…。

「いや…密偵の女に薔薇の刺で…」
「×××の毒が塗ってあったでしょう?その女、深い火傷を背中に負ってませんでしたか?」
「なんでそれを…まさか…いやでもありえない。」

え!まさかまさかまさかまさかまさかまさか嘘でしょぉー!!!!!!!!!!!!!!オチが分かっちゃったわ…。

エルザ!そんなとこで背中まくらないでよ!!私が見えないでしょうが!!

「その火傷…。本当にあの女密偵…?」
「はい…フローラとは仮の名。副職は盗賊です。昔は密偵もやっておりましたがあの戦場で失敗し首になりました。今は花霞のエルザで通っています。」
「俺もです。あの戦場で首になりました。今は軍人をやめて宿屋やってます。」
「「あの…」」

あぁ!!ハモってる!ハモってるよあの内気なエルザが!!

「すいません…そちらから。」
「いえレディファーストで…。」
「そ、そちらから…。」
「どうぞ遠慮しないください」
『じれったいわよ!!そこ!はい2人で言ってみようか!せーの』

…沈黙。やばい。あまりのじれったさに声だしちゃった…。

「そ、そうですね…決まらないなら2人で言っちゃいましょう。」
「分かりました。いきますよ?せーの」
「「戦場で会ったとき一目惚れしてしまいました…—」」
「…忘れられなくて…ずっと探してたんです。」
「長い間近くにいたのに気づかなかったなんて…もう待てません」
「「だから…その…結婚してくれませんか?」」

いいなぁ。あんなに顔赤くして…少しずれたけどハモっちゃってさぁ。帰ろ。んでもって私思いっきり柊に抱きつこうっと!!

「…ありがとうございます!!では後ほど。鼠が出てるみたいなので退治しますから…」「はい。ちょっと俺も手助けしてくれた友達に話してきます!!」

…鼠?はてそんなの……—

「痛い痛い!!花瓶はそんなに揺らすものじゃないわよ!!エルザ!!」
「蓬先輩?どうしてここにいるんですか?まさか盗み聞きしてたんじゃ…。」
「もちろんよ!後輩のエルザに幸せになってもらいたいから見張ってたのよ!!」
「…そうなんですか。あの…さっきありがとうございました。でも大丈夫ですよ?私、先輩よりしっかりしてますもん」

あぁ。この毒舌。昔は嫌いだったけど今は慣れちゃったなぁ…。それもこれも詩句のせいだけど…。

「エルザ!飲み行きましょう!!エルザのおごりで!!」
「…なんでですか?こういう時って祝いで先輩が…」
「つべこべいわない!!私より先に結婚予定の彼氏つくったんだから罰よ!!」

私はエルザを酒場へ引っ張っていった。