ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 旅人ノ街【ツドイマチ】:オリキャラ募集!(職業限定です。   ( No.89 )
日時: 2010/06/20 11:01
名前: 譲羽 (ID: fgNCgvNG)

【33】
記憶の館に行ったことが昨日と言えるようになった今日。

ボクは1人早起きをし、朝からアイスティーつくりの特訓
をしていた。

伊咲夜さんのとこに行こうとも思ったのだが、朝から行くのはさすがに失礼だろうと思い直し、午後から行くことにした。

それに屋敷の掃除とかもあるだろうし…。

柊さんはといえば、昨日あれから、寝たら治ったといって、また酒場へと赴き、つぶれにつぶれてしまっていた。

どうやら、昨日ボクがセシルさんに殺されかけていたこともまぜて、ボクが出歩いていたことは覚えてないみたいだ。

今はベッドでうんうん唸っている。

喫茶店の天井は薄いため、上の声が下にまるぎこえだ。まぁボクが最初に来た時のように、下の声も上にまるぎこえなんだけど。(壁は厚いのか、防音対策がされていて外にはドアに耳をつけていても聞こえない。その技術を天井にも使ってほしかったなぁ…。)

柊さんだけでなく、雅焔さんやホトソンさん達もそうなのか、それとも用事があって忙しいのか、今日は誰も来ない。

アイスティーをさっきから自分で試しているのだが、自分でつくって、自分で飲んで、自分で感想を言うのがひどく惨めに思えてきて悲しかった。

“ポッポーポッポーポッポー”

最近取り付けた鳩時計が12時を鳴いて伝える。

ボクはそれを機会に惨めなアイスティーつくりをやめ、かたずけ、2階へと柊さんの様子を見に行く。

柊さんの部屋は厄介というかセキュリティが高く、鍵穴も鍵もないのに、柊さんの許可をもらわないと入れないので、いつでも様子を見に行けるよう、今日はいつも御影さんが寝泊まりしている部屋にいてもらっている。

「大丈夫ですか、柊さん?12時ですけどお昼食べますか?」

そっと扉を開ける。もぞもぞと布団が動き、少しすると柊さんが上半身を起こした。

凄く具合が悪そうで、なんだか老けて見えた。

「いえ………いらないですよ………柊にかまわず、詩句は………好きなことして…て」

いい終わると、柊さんはすぐに横になりもぞもぞと布団をかぶりなおす。

てか、柊さん口調の特徴の語尾小文字が1つもなく、そして最後はいつもなら“ください”なのに“してて”という変わりぶりだった。かなりまいってるようだ。

「じゃあ、ボクは午後は街を日が暮れるまでぶらついてますからね。」
「…う…うう。わかりましたよ…」

ボクは柊さんの承諾を聞き、静かに扉を閉めた。

いちおう本当のことをいってるが、館に行くという肝心な部分はあえて削った。

行く前にボクは昼食に困った。

ボクの紅茶はおいしいとよくいわれるが、料理はなにもいわれず、みんな顔をひきつらせながら食べる。

ボクの料理があまり上手じゃない領域でもないことはボク自信も自覚しており、そんな手料理を自分でつくり、自分で顔をひきつらせながら食べるのはそれこそ惨めで悲しくなってしまう。

なので、ボクは喫茶店をでて、記憶の館へと早足で向かった。上手くいけば、伊咲夜さんのつくった手料理を頬を落としながら食べることができるだろうから。