ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 旅人ノ街【ツドイマチ】:オリキャラ募集!(職業限定です。   ( No.95 )
日時: 2010/06/21 21:01
名前: 譲羽 (ID: fgNCgvNG)

【35】
「伊咲夜さん…。雰囲気壊しちゃってすいませんが、お昼たべました?」
「いえ…まだですけど…まさか詩句さんが手料理を!?…仕方がないですね。食べてやりますよ」

いってることとは裏腹に目は輝いている。上から目線なのに、食べる気満々。

「いえ…ボクの料理は顔をひきつらせて食べる程おいしいと定評がありまして…」
「ひきつらせる!?痙攣するほどおいしいと!」

ボクのジョークも覆すほどの思いこみ…伊咲夜さん強えぇ!

「はっきりいいます!ボクの料理は不味い!伊咲夜さん。すいませんが昼食を食べさせてください!」

物乞いっぽいなぁ。土下座が合う場面だがあえてしない。

ボクの言葉にそっぽを向く伊咲夜さん。

「カンタレラでも盛られたいのですかね?まぁそれならしょうがありません。どうぞ食堂へ」

そういって、伊咲夜さんが青い薔薇を持ったまま扉を開ける。

どうやらOKがでたようで…カンタレラっていうのは伊咲夜さん独特のジョークってことにしておこう…。



ジャガイモの冷製スープ、野菜たっぷりのパスタサラダ、ちょっと固くなっているパン、ベーコンの切れ端と卵のベーコンエッグ。

伊咲夜さんはほんの数分でつくってくれた。

「まかない料理です。野菜も少し黒いとこがありますが問題はありません。カンタレラはここにありますから盛りたいなら勝手にどうぞ。解毒剤は今切らしてますから気をつけてください」

伊咲夜さんの指差す先にはリアルにカンタレラ。

「いえ、間に合ってますから。昼食に卵料理ってザンシンですね。普通朝にでませんか?」
「私これが朝食兼昼食なので」

…ブランチ?てか、朝なにも食べずに仕事って…。

「つらくないですか?ボクは3食ぬけないんですよね」
「それが1日の流れですから。貴方だってやる気さえあればできます。どうでしょう?今度まる1日ここで働くというのは?」
「遠慮します」

即答。

「ちっ」

舌打ちで返された。

伊咲夜さんの料理は絶品でそれこそ頬が落ちてしまう前にとろけてしまいそうだった。

「おいしかったです。ごちそうさまでした。」
「それはよかったですね。では本題へ移りましょう、昨日の話ですが、何故柊さんから私が隠れているか。それは詩句様の記憶を視てもらえればわかります。ご案内致します」

食器はそのままでいいのか迷ったが、ためらってる内にとことこと行ってしまう伊咲夜さんを急いで追いかけた。

「まったく若者は足が遅い。音をたてて歩くな!うるさいったらありゃしない」

ぶつぶつと唱えるようにボクに指摘する。よっぽどマナーとか伝統とか屋敷とか主人とかを大切にしてるみたいだ。

まさにメイドの中のメイド。深く考える思いこみの強さと、情緒不安定なのがなければなおさらいいのだが…。

まぁその2つがなかったら伊咲夜さんではないだろう。