ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 旅人ノ街【ツドイマチ】:オリキャラ募集!(職業限定です。   ( No.96 )
日時: 2010/06/21 21:02
名前: 譲羽 (ID: fgNCgvNG)

【36】
記憶の館は外から見たときよりもかなり入り組んでいた。

食堂や大広間、客室などは迷わずとも行けるほど廊下も部屋も贅沢ともいえるくらい広々としているのに、隠れた回廊を1つ越えただけで、細い道と何本もの分かれ道となっていた。

「…まるで、迷路みたいですね。伊咲夜さんはもちろん道を知っていて通ってるんですよね?」
「あたりまえです。私はこの屋敷が出来た時からずっとここにいて、毎日ここを通ってるんですからね。」
「屋敷が出来た頃から?伊咲夜さんいったい何歳ですか?」

見た目…大人に見てぎりぎり20いってないかくらい。子供に見たら17、18?

屋敷はピカピカだけど古い感じがするから…2桁。伊咲夜さんが今20…。ということは1桁?

「ここに来たのは23歳の誕生会を詩句様が行ってくれた後でした…屋敷は築50周年程ですかね?私は詩句様に歌っていただき、17歳のままなので。もう年齢の領域ではありませんよ」

伊咲夜さんもどうやら身体年齢が止まってるようだ。

なんだかみんなでとまってたら「サ●エさん」や「ど●えもん」みたいじゃないか…。

見たことないけど…

この物語では見たことないはずの設定だけど。

「だいたい、1回世界から世界へ渡ってしまうと時間の進み方が違うのでわからなくなってしまいますよ」
「そうですか」

そんな話をしていると、突然伊咲夜さんの足が停まった。目の前には、まるまる見事な絵画になっている扉があった。

「ここが、記憶の館の1番奥の部屋。記憶の間です。」

伊咲夜さんの話しを聞きながらも、ボクは扉の絵に見とれていた。

簡単に言えば、長い黒髪をした女性が天から舞い降りて来ながら血を垂らし、それを7人の人がとんがり帽子を逆にして受け止めている絵だった。

「その絵は魔導の者達が拝み崇拝する絵です。青髪の女性はあらゆる世界に魔法をもたらした者。下はそれを受け止め、反映させた人達です。誰が書いたのかも、この絵に書いてある者達が誰なのかもわかりませんが、この絵のため、魔導の家系の主人は男ではなく、女となっているそうです。」

…だからさっき婦人ではなく、女主人様といったのか。伊咲夜さんは説明が上手だなぁ。

青髪の女性。血が流れているのは両手の先からだったが、

ボクには…—

ボクには受け止めても受け止めても掴みきれない涙をこぼれさせまいと必死に両手で受け止めているようにも見えた。

まぁ、これはボクの思い過ごしなのだろうけど。

なんせ、赤いは滴は血。絵にかくなら涙は青だろう。