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0-4「僕は善で君は悪」

一人の敵が0-1・カイリに目をつける。カイリが攻撃してこないことをいいことに、全ての敵がカイリを狙った。
「ちょっ、アンタ何やってんのよ!!」
何の抵抗もせずに殺されるつもり!?
「うわぁぁっ!!寄るな、寄るなぁーっ!!」
そして銃を3連射した。
「そんなテキトーにやって当たるわけないじゃない!!」
しかし、その3発の銃弾はそれぞれ意思を持ったように敵の心臓へ飛んで行った。
「…」
銃を持つ手は震え、そして銃を落としてしまった。そして、そのまま廊下に膝から落ちた。
「なっ…」
3発の銃弾は敵を確実に仕留めていた。
「ねぇ、皆…。名前、何ていうの?」
急に聞き出した。戦場とは思えないのんきな会話だ。
「僕はシード・アスモデウス。宜しくね、カイリ君」
「あたしはリン。リン・ラフィード」
何でそんなこと聞いてくるの?妙なヤツね…。
「ディナ・アシェル・ルベンです」
「そうなんだ。僕はカイリ・アサミ」
とにかく、皆の名前が知りたかった。何でかは解らない。ただ、誰か仲間の声を聞いて落ち着きたかったのかも。
「ねぇ、僕たちは善いことしたんだよね?」
「僕らにとっては善いことだよ」
こんな大勢の人が血を流して消えて行くのがね…。
「そうだよね、善いことなんだよね。ははっ、僕は善い人なんだ…。悪くないんだ…。あはははっ!!!」
何か糸が切れたみたい。笑いが止まらないよ…。
沢山の血が流れて、沢山の血を浴びて、沢山の人が悲鳴を上げて、沢山の人が傷ついて、沢山の人が泣いて、沢山の人が悲しんで、沢山の人が消えていく。
こんなことが善いことなんだ。そんなこと思いもしなかった。殺人犯になったのに善い人なんだよ…?ははっ、おかしいよ…。
「なっ、何なのよ…」
急に真っ青になったり、急に笑い出したり…。コイツ、ホントに人間?
「…」
白い羽を持った天使が堕ちた…。生まれたときからずっとこの光景を見てきた私にはすぐ解ります。嫌でも…。

綺麗な白い羽を持った天使が空を自由に飛び回る。そこに魔の手は伸びてきて、その綺麗な羽を根元から抜く。悲鳴が響き、血は流れて…。その光景を魔の手は笑う。そして、そこに似合いもしない真っ黒の漆黒の悪魔の羽を無理矢理に植え付ける。そして、地の底に引きずり込む…。それが私達です。
堕ちた瞬間に得るものは恐怖、罪悪感、恨み…。そして『快感』やがて人の悲鳴が快感に変わります。「許してくれ」「死にたくない」そんな悲痛の声が歓びに変わり、最後には快感に変わる…。涙なんて出なくなります。この世界で『快感』を感じた時点でもう私達は人間ではなく、悪魔に変わるのですから…。