ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 堕落した天使(微グロ注意!)〜オリキャラ男・女募集中!〜 ( No.64 )
- 日時: 2010/04/09 21:15
- 名前: 野々花 (ID: F35/ckfZ)
0-8「失ったもの」
「くうっ!!」
「リンっ!」
最近は魔物も強くなってきた。ディナが死んでから急に…。
「早く回復しなさいよ!!」
「うっ、うんっ」
魔物に食いつかれた右腕を押さえて睨みつけてくる。なんか、こういうときでも怖いんだよな、リンは…。
そして、回復呪文を唱えた。
「カイリ〜。こっちもお願い〜」
「うんっ!」
今度はエルマーの所に走っていく。エルマーですらダメージを受けるほど強いんだ…。
「あー、もうっ!!しぶといわねーっ!!」
倒しても倒しても次々現れてくる。正直、うちの攻撃役だったディナとシード、両方を失うときついわね…。
「大変そうですね〜」
不思議な模様のシルクハットをかぶったいかにも弱そうな女が来る。そして、その長い髪を手のように扱い、敵の首を絞めた。
「ささ、頑張りましょ〜。あたし、手伝いますからね〜」
「…?」
まぁーた、不審な奴が来たわね。あたし達って不審な奴を寄せつける運があるのね…。
「わー、不思議」
でも強いみたい。敵はすぐ死んじゃってるから。
「さ〜、あと少しですよ〜。この先に町がありますからね〜」
こんな大変な時にのんきで独特の口調で喋る。どれだけのんびり屋なのよ。
「てやっ!!」
今までのイライラがたまったあたしは、飛び蹴りをくらわした。
「わ〜。かっこいい〜。さぁ、行きましょ〜」
「ね、ホントに町あるの?」
「ありますよ〜。こんなときに嘘ついて何になるんですか〜?」
「いや、あんたみたいなのなら十分あり得るわね」
「…不思議な模様」
帽子を凝視して首をかしげる。
「不思議でしょ〜?なかなか皆このセンスを解ってくれないんです〜」
「解んないわよ」
割とオシャレには敏感なほう。でも、こんな模様見たこと無い。
「あ、あれかな?」
「あれですよ〜。この町、強いお兄さんがいるんです〜」
「へぇ。それは是非とも仲間に欲しいわね」
攻撃役がいなくて困ってるし。
「大丈夫か?ずいぶんと傷ついている…。早く休め」
「え、いいんですか?」
「あぁ。傷ついた者を見捨てるわけにはいかない」
目つきは悪いけど優しそうなお兄さんだった。
「やった!ありがと、お兄さん!!」
「あぁ」
そして、宿屋を紹介してもらった。しかも、代金はお兄さんが払ってくれた。
「ねぇ、お兄さん。名前はなんていうの?」
「俺はレオン。レオン・ジェック」
「レオンさんね。今日は色々有難う。宿屋のお金とかはいつか返すわ」
さすがに、ここまでしてもらうのは悪いわ。
「いや、いい」
「ふふっ、血まみれだ」
このお兄さん、ホントは酷い人。沢山の人を殺してきた悪〜い人。
「背が高いな〜」
僕らの中で一番背が高かったのはディナ。女の人であんなに大きい人は見たこと無かった。レオンさんは背が高くてかっこよくて、優しくて…。すごくいい人。
「ん、あぁ。まぁな」
親父がデカいからな。
「レオンさん、また何から何まで有難う御座います〜」
「いや、気にするな。それより早く寝ろ」
「はーい」
皆で返事した。背が高くて年上の男の人はなんだかとても頼もしくて。すべてを任せてしまうような気がした。
「さぁ、本当にどうしようかな?」
町も村も見当たらない。いや、寝袋もあるし野宿すればいいんだけど。
「…」
後悔してる。でも、あの時あの命令を断っていれば僕は死んでいる。自分の生をとったんだ。『生きたい』と思った。『死ぬのは怖い』と思った。人間でもないのに…。
「でも、寝てる間に敵がきたらな…」
うん。どうしようもないし。と一人で納得してみた。もし、僕がディナではない誰かを殺していたら、ディナは僕についてきてくれたのかな?
…。死んだ人のことをいつまでも考えたって…。
「後悔は死ぬほどしてるよ。このまま死んでしまおうか…」
目の前に広がる海。その海に入りたくなってしまった。でも、僕は思う。ディナの死を悼む気持ちがあるのなら、僕は生きた方がいい。そうじゃなきゃディナは無駄死にしたことになる。
「ごめん、やっぱ生きるよ。ディナ…、いつか逢おうね」