ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 堕落した天使(微グロ注意!) ( No.81 )
- 日時: 2010/04/11 22:37
- 名前: 野々花 (ID: F35/ckfZ)
1-5「逝きましょう 生きましょう」
「皆さん、逃げて下さい」
ディナの低くて透き通った声が響く。
「何で!?まだかなりHPはありそうよ!?」
「私が決着をつけます」
私の自爆で…。父様を倒します。
「僕も残るよ」
言ったでしょ?君のいない世界は死んでいるのと同じだって。
「なりません。さぁ、皆さん。全力で走って逃げて下さい」
君はそうやって冷たく切り離すんだ。僕の気持ちも知らずに…。
「逃げよ?ディナがそう言ってるんだもん」
エルマーが逃げるように促す。
「急いで下さい」
口数も少なく、今まで信じてきた人を切り離す。
「逃げるぞ」
次には悠也が逃げるように言う。
「急げ!」
もう皆は逃げ始めていて。取り残されたのは僕だけだった。
「シード」
背中を押された。
「ディナ…!生きて帰ってきて」
「約束です」
「約束」なんて言っても私はもう終わり。仕方がないことです。
「ディナ…」
そして、決意したように走り出す。そこには最後まで待っていてくれたレオンさんがいた。
そして、2人で急いで脱出していた。
「ディナよ…」
「父様…」
そう言って抱きついた。自爆まで後30秒。逃すわけにはいきません。
「ディナ、何故最初からこうしてくれなかった…?」
「貴方を愛せないからです」
「何故愛せない…?」
「死した私を蘇らせるなど歪んだ愛情。死んだ人間が戻るわけはないのです」
私は貴方の愛情は拒絶します。愛など、感じれらない…。これ以上私を苦しめないで下さい。
「 」
「そうですか…」
それならば、望み通りにしてあげましょう。
ドオォォォンッ!!!!!!!
逝きましょう。私は逝きましょう。悪魔と呼ばれた神と共に地獄へ逝きましょう。
「ディナァッ!!!」
死んだ…。死んだんだね。嘘つき…。
「ディナッ!!」
何でだろ、大嫌いだったのに…。涙が出る。
「ディナ…」
冷たくされた時もあったけど…。どれだけ冷たくされても大切な仲間だった。
「ディナ様…。何故です…。約束したのに…」
生きて帰ってきてくれるって言ったのに…。嘘をつくなんてひどいです。
「…」
目を閉じて「安らかな眠りを」と祈る。自分の意思で死んだんだ。後悔はないだろう。
「ディナ…。消えちゃったんだね」
殺されかけたときは凄く怖かった。でも、優しい人だってことも解ってた。もっと沢山の貴女を知りたかった。
「ちっ…」
金がもらえなくなるか…。金…。金だけじゃない。ただ、まだ知りたかったのかもしれんな。
『まだ、貴方方と一緒にいたかった…』
きっと、ディナはそう思っています。私はディナの代わりにディナの言葉を伝えました。
「寂しいですよ〜…」
もっともっと一緒にいて、もっともっと沢山お話がしたかったです〜。
「ふふっ…。なんでこんなことに…」
あの時の廊下で初めて会った。その時に、彼女の強さに一生ついて行きたいと思ったわ。でも、もういないのね。
「ディナさんっ…」
凄く強くて憧れだった。それでも女性だった。だからどうやって接すればいいか解らなかった…。もっと会話しておけばよかった…。
「まだ、貴女を知りたかった…」
フルリールが氷竜になっても勝てない相手…。後悔は今更です。もっと早く氷竜になっていれば倒せたのかしら…?
「ディナ…」
皆が声をそろえて言う。
僕達は生きましょう。それぞれの思いを抱いて生きましょう。貴女の分まで生きましょう。
─完─