ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: †Against Death† ( No.1 )
日時: 2010/04/16 21:06
名前: 獅堂 暮破 ◆iJvTprGbUU (ID: D0RCrsH7)

Opening... 「Death」

いつも通りの朝だった。
いつも通りの昼だった。

朝起きて、高校へ行って、授業をサボって、遊んで、そして家へ帰る。
繰り返される毎日。
それがこんな風に崩されるなんて思わなかった。

夕暮れの町をガムを噛みながらゆっくりと歩いていた。
家に帰ったらゲームでもするか、なんて考えながら。
それは普通で日常で。
でもそれが一番幸せだ、そんなおじいちゃんみたいな事を思って歩いていた。

走る男にぶつかられ、
よろけた時にふと感じた腹部の痛み。
その痛みは徐々に確かなものへとなっていく。
痛む所に触れれば生温かい液体が流れてくる。
紅い、紅い、俺の血。
周りの人々が騒ぎ出し、俺へと駆け寄る。
すぐさま一人の男が俺を刺した男を追う。
女性は救急車を呼ぶ。
しかし意識が遠のくのは早くて、既に俺の目には薄っすらとした世界しか見えなかった。

俺と対照的な青い空。
それは憎いほど清々しくて、広くて。
思わず涙が一粒流れ落ちた。
生きたい、こんなに生きたいのに身体は確実に死んでいく。
これが、初めて経験した死。
そして輪廻の歯車から外れてしまった俺の人生の二度目の出発点。

「抗いなさい」

そう聞こえた声に
俺は静かに頷いた——

「抗ってみせる」

そう一つ言葉を落として。

理不尽に奪われた命。
身体を失った魂は彷徨い迷う。


俺は抗う。
こんな理不尽な死はあっちゃいけない。
俺はまだ死にたくない、生きたい。
だから抗ってみせる。

こんな理不尽な
神なんて、
俺は信じない——

だから とことん抗ってやる。