ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: †Against Death† ( No.4 )
日時: 2010/04/21 18:59
名前: 獅堂 暮破 ◆iJvTprGbUU (ID: D0RCrsH7)

第二話 「Hot」

「はい。貴方の新しい制服よ」
新しく渡された黒が基調のブレーザー。
正直ありがたかった。
こんな血塗れの制服なんて着て歩けないからな。
「ん。ありがとう」
俺はそう言って制服を受け取った。
「あと、これも渡しておくわ」
そう言って彼女が取り出したのは銀に光る小さなエンブレム。
表には十字架を背負った蝶が描かれていた。
「これ、は?」
俺が問えば、夕日は頷きながら話し出す。
「これは、生徒会の役員に渡されるエンブレムよ……表向きはね」
まず生徒会役員のエンブレムを渡された事に驚きたいが、俺は表向きといういかにも訳ありそうな言葉に引っかかった。
「表向き、ってどういうことだ?」
「そのままよ。私を筆頭とした生徒会は表向きの姿。もう一つ、この学園には“対死神部隊”というものがあるの。それが裏の生徒会」
なんだかよく漫画やアニメなんかである展開だ。
俺は今、夢でも見ているんじゃないだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
しかも、それに入れと言わんばかりにエンブレムを押し付けられる。
出来れば受け取りたくはないのだが。
「受け取りなさい。じゃなきゃ……」

俺の頭に小型の拳銃が突きつけられる。


「殺すわよ?」


爽やかな笑顔でひどい脅迫を受けた。
なんで女の子がこんな危ない凶器を常に装備してあるんだよ。
そう言いたかったが、今はエンブレムを受け取る事が先のようだ。
「ありがたく受け取らせていただきます」
俺は泣く泣くエンブレムを受け取ることとなった。
彼女はその爽やかな笑顔のまま続ける。
「受け取ったわね? これで貴方はこの黒羽学園生徒会役員、そして対死神部隊の一員となったわ!!
仲間達の紹介をしておかなくちゃね」
そう言って後ろに立っていた面々達を紹介し始めた。
「この金髪尻軽が梶 日向(カジ ヒュウガ)よ。学年は貴方の一つ上の三年生。
男女関係なしに襲ってくるから気を付けなさい」
さっきソファーに座っていた彼だった。
「よろしく。梓都ちゃん」
ちゃん付けをされ額に青筋が立った事、俺だけの秘密にしておく。
「で、こっちの眼鏡が霧島 現(キリシマ ウツツ)。彼も三年生よ。頭は良いけどなんだか性格が歪んでるわ」
霧島、さんはチラッと俺を見てすぐに視線を本へと戻す。
ここまで黒髪の似合う人がいるのかと違う方面で感心した。
「そして、安藤 椛(アンドウ モミジ)。学年は貴方と同じ二年で銃を持たせたら一瞬で学園が破滅するわ。それぐらいの腕の持ち主よ」
椛と呼ばれた彼女は愛銃であろう二つの拳銃を念入りに磨いている最中だった。
「……よろしく」
一言返され、俺も慌てて挨拶をした。
「まぁ、まだまだメンバーはいるけど今日いるのは私を含めこの四人よ。
改めて、黒羽学園生徒会へようこそ。私達は貴方を大歓迎するわ」
そう言って差し伸べられた手。
俺は少し躊躇しながらもその華奢な手を取った。
「えっと……よろしく」
俺がそう言えば彼女達は微笑んで頷いた。
なんだか温かいものを感じて涙腺が緩む。
「あー梓都ちゃん、泣いちゃう?」そんな事を梶に言われ、俺は違うと一喝した。

楽しい時間はそう長くは続かない。
自分という存在を思い知らされる時は

もうすぐ後ろまで 迫っていた——