ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †Against Death† 【オリキャラ求む!!】 ( No.8 )
- 日時: 2010/04/23 19:46
- 名前: 獅堂 暮破 ◆iJvTprGbUU (ID: D0RCrsH7)
第三話 「disquieting」
まだ説明が足りないところは多くあるが、時刻は午後十時。
「そろそろ寮に戻ったほうがいいな」
霧島さんがそう呟く。
全員その意見に賛成なのか、帰宅準備をし始めた。
「え、寮って……」
俺はまたも話についていけない状態だ。
「……貴方、生き返ったとは言っても一度死んでいるのよ? ……言いにくいんだけど」
夕日がそこで一度口を閉じる。
言いにくそうに俺の顔を見ながらポツリと呟いた。
「今まで関わってきた人達に、貴方という人間の記憶はないの」
一瞬のうちに空気が冷たくなる。
皆同じ事を経験してきたのだろう。
悲しいような辛いような、複雑な表情を浮かべていた。
こんな状況で何だかんだ訊く事は出来ないと俺は判断した。
「あ、ああ。そうなのか。じゃぁ、家になんか帰れないよな」
表面上は笑っていても心は歪み乱されていた。
多分、俺は今笑えていない。
そう自分でも分かってしまうほど俺は混乱していた。
「……ごめんなさい」
夕日が俯きながら言う。
「謝るなよ。アンタのせいじゃねぇし」
俺はその歪な笑顔のまま夕日の肩へ手を置いた。
夕日は一瞬びっくりしたように目を見開いたが、すぐにあの偉そうな笑顔を浮かべた。
周りの空気も和らぎつつある。
「じゃ、寮へ行くわよ!! 私達が直々に案内してあげるんだから光栄に思いなさい」
俺は「へいへい」と適当な返事を返し彼女らの背中を追った。
*
「あれが柴崎 梓都? なんか、あまり強そうじゃないねぇ」
黒髪の少年が学園の門の上でそう呟く。
歳は十五ぐらいだろうか。
フードを被っているせいでよく顔が見えない。
「……なんかあの顔、見た事あるんだよな」
その隣で茶髪の少年がボソッと呟く。
手を顎に当てながら何か考えているかのように唸っている。
「んだよ、稀緒。知り合いだったりすんの?」
「んー……。分かんねぇ。顔に見覚えがあったからさ」
気のせいかな、彼はそう思い考えるのを止めた。
*
何だか視線を感じ、振り向いてみる。
だがそこには誰もいない。
俺は今、日向達と寮の前に立っていた。
忘れ物をしたという夕日に加え、椛と霧島さんはコンビニへ買出し。
現在、日向と共に三人を待っているところだった。
「ねぇー梓都ちゃんって髪の色、珍しいよね」
そんな呟きを落とす日向。
確かに俺の髪の色は珍しいかもしれない。
銀色のような白のような色。
「しかもサラサラだし」
日向は俺の髪を指で軽く梳いた。
「あー……確かに珍しいかもな。てか触んなよ」
俺がそう言うと日向は「ひどい!! 俺一応先輩なのに」なんて叫んでいた。
コイツ……一応、日向先輩はなんだか年上のような気がしない。
だからか案外すぐに打ち解けられた。
先輩というよりは友人のような打ち解けやすさだった。
「これから、よろしく……」
小さく漏れたその言葉に、日向先輩は嬉しそうに頷いた。
その時だった。
「あー和み中悪いんだけど、死神でーす」
背後から聞こえた声に俺達は振り返る。
少し前から感じていた同じ視線に俺は警戒心を強めた。
「チッ。今は夕日ちゃんいませんよ? 死神さん」
日向先輩の言葉には嫌悪感があった。
「相変わらずつれないねぇ。日向」
「今日の用は、アンタの隣の子だよ」
そう言うのは歳は同じくらいに見える茶髪と黒髪の二人の少年だった。