ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †Against Death† 【オリキャラ求む!!】 ( No.12 )
- 日時: 2010/04/24 19:54
- 名前: 獅堂 暮破 ◆iJvTprGbUU (ID: D0RCrsH7)
第四話 「memory」
茶髪の少年には見覚えがあった。
何処で、何時……それは思い出せないが。
「俺に、用?」
日向先輩の嫌悪感のある話し方からして仲間、という訳ではなさそうだ。
警戒心は強まるばかりだった。
「そうそう。アンタ、柴崎 梓都だろ?」
俺が返事をしないままでいると、彼らはのん気に言った。
「あー自己紹介してなかったな」
なんかこの会話は二回目な気がする。
「俺は西澤 稀緒(ニシザワ キオ)だ。そして隣で飴食ってる奴が龍本 黒斗(リュウモト コクト)」
西澤、稀緒。
その名前にはやはり聞き覚えがある。
俺の中に分からないもどかしさが広がっていく。
「西澤、稀、緒……」
その名を口にした時だった。
急にひどい頭痛に襲われた俺は頭を抱え込む。
「っ、う……あ……」
その頭痛は生半可なものなんかじゃなくて、ハンマーか何かで頭を殴られているようなそんな痛み。
「梓都ちゃん!?」
突然の事態に日向先輩が俺の元へ駆け寄る。
驚いているのは日向先輩だけじゃなく、死神を名乗る二人も俺達の様子を見ている。
「なぁ、稀緒。お前、あの子に何かしたの?」
飴を舐めながら黒斗がそう尋ねる。
「いや、なんもしてねぇけど。俺が原因なのは確かみたい」
そう言う奴の表情は何故か嬉しそうに見えた。
「貴方達!! そこで何してるの!?」
聞こえたのは夕日の声。
ひどい頭痛のせいで視界がぼやけ、夕日なのかはっきり分かるわけではないけど。
「チッ……。五対二はさすがにキツイな。退散するか」
そう言って西澤は姿を消す。
「ちょっ、俺を置いてくなよ!!」
続いて龍本も姿を消した。
未だに続く頭痛は痛みを増すばかりだった。
そんな状況ではっきりとは聞こえなかったが、奴の、西澤の口は確かにこう言っていた。
『次、会う時を楽しみにしてるぜ』
それが何を意味しているのか分からない。
でも奴と俺の間に何か関係があるのは確かだ。
それにこの頭痛。
だんだんと痛みのせいか意識が遠のいていく。
駆け寄ってきた夕日、霧島さん、椛の姿も既に見えなくなってきていた。
そんな時、四人の後ろに見たのは……
「父さ、ん……?」
俺と似た髪色、そして全てを見透かしたような黄金色の瞳。
それは今まで思い出せなかった父親の姿だった。
そこで俺の意識は薄れ、支えのなくなった身体は地面へと崩れていく。
寸前で霧島さんが受け止めたのを最後に
意識を繋ぐ糸は完全に切れた——