ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †Against Death† 【オリキャラ求む!!】 ( No.13 )
- 日時: 2010/04/25 19:18
- 名前: 獅堂 暮破 ◆iJvTprGbUU (ID: D0RCrsH7)
第五話 「why」
夢を見ていた。
意識が途切れた後、俺はあの時、つまり見知らぬ男によって命を奪われた時と同じ状況だった。
ただ眠っているような感覚。
意識がなくなるとこうなるんだな、なんてのん気な事を考えながら俺はただ目を閉じていた。
『おいで、梓都』
何故今まで忘れてしまっていたのだろう。
その声は大好きだった父さんのものだった。
ふと目を開けば真っ白な背景に俺と父さんだけが浮かんでいる。
これは俺の精神内なのだろうか。
よく分からないが、今自分のいる状況が普通ではないのは確かだった。
『やっと思い出してくれたね、梓都』
父さんは静かに優しく微笑みそう呟く。
『俺の事、そして“奴”の事も……』
奴、西澤 稀緒の事だろうか。
でも俺はまだ、西澤の事を何も知らない、いや何も思い出せてはいない。
「父さん、俺は——」
俺が父さんに向けて奴の事を尋ねようとした時だった。
父さんは俺の口をそっと閉じさせ、スッと消えた。
最後にこう一言残して。
『また、会える』
そこで真っ白な世界は割れたガラスのように飛び散り崩れる。
「父さん!!」
名を呼んでも父親の姿が現れる事はない。
崩れた世界の変わりに耳に入るのは俺の名を呼ぶ声。
「—と、梓都!! おい!!」
その声は日向先輩のものだった。
ハッと目を開く。
目の前には、夕日に日向先輩、霧島さん、椛、それに見た事のない同い年ぐらいの少年。
「お、れは……」
起き上がろうとすれば、茶髪で眼鏡のその少年に「まだ起きないほうがいい」と寝ていたソファーに戻された。
「梓都、何があったのよ?」
夕日が心配そうな瞳で俺を見つめた。
確か、二人の死神が現れて、俺に用があると言って……。
西澤の名を呟いた瞬間にひどい頭痛に襲われ、そのまま意識を手放した。
夕日にそう説明すれば、気難しい顔をして悩みこんでしまた。
「そう。分かったわ。説明ありがとう」
夕日はその表情のままそう言って寮の一部屋から出ていった。
「あ、それで、あの……アンタは?」
俺は茶髪の少年にそう尋ねる。
「あ、僕は瑞口 白秋(ミズグチ ハクシュウ)君と同じ高二だよ。あーでも死んだのは三年前だから、一応僕のほうが先輩になるね」
俺が「よろしく、お願いします」と言えば、彼は頷いた。
「僕の事は白秋って呼んでくれればいいから」
そう言って目を本へと移した。
父さんの事、何故今まで忘れていたのか。
それだけがどうしても分からない。
あんなに仲が良くて、ずっと一緒にいた人なのに。
何故、
何故、
何故……——
その言葉が頭の中で回り俺を混沌へと落としていく。