ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 寂しい町、他人の手。オリキャラ募集 ( No.12 )
日時: 2010/04/23 22:55
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: fh.wbL8r)

第3話

土曜日、午後二時三十分。
部屋で一人、ゴロゴロしているとクラスメイトの御手洗から電話があった。

「もしもし……?私は留守です」
『携帯に留守は関係ないと思うんだけど……』

携帯の向こうから玄冬の呆れた声が聞こえた。
彼とは小学校一年生の頃からずっと同じクラスの腐れ縁だった。
もちろんただの腐れ縁なので彼とは特別仲が良い訳ではなかった。
ただ他人以上で、彼は僕の携帯の電話番号なんて知っている筈がなかった。

『あのさ、明日映画の試写会に行こうとしてたんだけど……
 行けそうにないから……代わりに行ってくれない?』

玄冬は焦っているのだろうか、声が震えていた。
しかしどうせ明日も暇だったので、映画の試写会は嬉しかった。

「おぉ、いいとも!なんの映画だ!?」
『あの、三国志の奴……呂布が主人公の』
「行く!是非行く!三国志好きだし!」

電話の向こうからは良かったと言う声が聞こえた。
もしかしてクラスの中で三国志が好きなのが僕だけだから、僕に言ってくれたのかな?
などと思いつつ、試写会の券について聞いた。

『その、悪いんだけど今日か明日……
 どっちでもいいから、取りに来てくれないかな……
 ちょっと……忙しくて……』

僕は構わないと言って電話を切った。
着替えて、僕は御手洗の家へ向かった。
御手洗の家は小学生の頃友達何人かと数回行った事があるので、大体の場所は分かっていた。
それに彼の家はここら辺でそれなりに有名な大きなお屋敷なので、場所が分からなくてもそこまで困る事はないだろう。

Re: 寂しい町、他人の手。オリキャラ募集 ( No.13 )
日時: 2010/04/23 23:11
名前: 金平糖  ◆dv3C2P69LE (ID: fh.wbL8r)

日曜日、映画の試写会へ行った。
その帰り道、僕は見たくない物を見てしまった。
学と、陽子さんだった。
とても仲が良くて、お似合いだった。
辛かった。
走って家に帰った。

そして、自分の部屋の、自分のベッドに頭を突っ込んだ。
もうこのまま寝てしまおうとしていたが、机からある物が落ちてそれが遮られた。

カランッ。

落ちたのは、金曜日に怪しい男に渡された欠片だった。
僕はそれを拾い、それに向かって叫んだ。

「ねぇ、妄想が本当になるのなら、本当にしてみろよ!
 陽子さんが同級生で、同じクラスで、普通に仲が良くて……
 そして……明日の退屈な数学の授業中にテロリストがやってくる!
 僕は不思議な力に目覚める!無理だね!絶対無理だ!
 所詮は全て妄想なんだよ!」

僕は「それ」を思いっきり床に叩きつけた。
「それ」はカシャンと音を出しただけで、割れたりしなかった。傷も付いていなかった。
孝政はベッドの中に潜り込み、無理矢理目を瞑った。
そして、呟いた。

「僕は普通じゃないよ。
 普通以下だよ。妄想しか出来なくて、行動を起こさない……」

僕と学は正反対だ。
彼は普通ではなく、彼は行動を起こした。
僕は普通以下、妄想だけをする。