ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 寂しい町、他人の手。オリキャラ募集 ( No.4 )
- 日時: 2010/04/20 19:30
- 名前: 金平糖 ◆dv3C2P69LE (ID: fh.wbL8r)
第2話
午後7時30分。
榮島孝政は自分の部屋のベッドで横たわっていた。
とくに何もせず、孝政はただ天井を見つめた。
明日は土曜日。
やっぱ明日が休みだと気が楽だなと呟きながら、孝政はずっと手に握っていた「ある物」を見た。
それは普通の人が見るとただの破片か何かだと思うだろう。
実際、孝政もそれを破片にしか見えないと思っていた。
学校の帰り道、怪しい男に渡された物。
男はこれの事を「力の欠片」と言った。
その「力の欠片」は光に当たり、キラキラと色んな色に光った。
これには正確な色はないらしく、光りを当てると色んな色に反射している。
赤、青、黄色に緑……黒だったりとまるで宝石のように。
この欠片があれば、晴れて力を手に入れ、妄想が本当になると男は言っていた。
「アホらし」
そう呟いて孝政はそれを机の上に置いた。
「もし妄想が本当になるのなら、
月曜日、学校の授業中にテロリストが俺のクラスにやって来てくれるのか。
絶対に無理だろ。」
丁度そこで母親の「ごはんよー」と言う声が聞こえ、孝政は「はーい」と言って、部屋から出た。
ちょうど同じタイミングで弟も部屋から出ていた。
「おー英太郎。いつの間に帰ってきた」
「一時間前にもう帰ってきたー」
弟の英太郎は口を尖らした。
英太郎は俺の三っつ下の中学一年生。
部活は卓球部で、それなりに頑張っているらしい。
弟は自分よりずっと個性的だ。
「ねぇお母さーん。ハムカツにしてくれたー?」
「ハムカツ売り切れだったから今日はトンカツよ」
英太郎はちぇーと言って自分の椅子に座った。
今日はトンカツかーなどと思いつつ、自分も椅子に座った。
「英太郎。文句を言わない」
今日は父さんの仕事が早く終わったらしく、すでに椅子に座っていた。
やはり、普通は良いものだ。
普通の食卓、普通の食事……
僕は温められたばかりのトンカツを齧り、うまいと呟いた。