ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.26 )
日時: 2010/04/22 21:27
名前: ユエ (ID: S7/.WdDv)

久し振りに、日本本土の空気を吸った。
むぅ〜ん。 やっぱり島の方が良い空気な気がする。

私はキャリーバッグを右手で引きずりながら、とある施設へ向かう。
久し振りに来る施設は、あまり変わっていない。
ちょっと安心しちゃったり。

施設のまん前に立った瞬間、

パキン、

と私の目の前に巨大な氷が姿を現した。

「………こお、り?」

つい声に出してしまう。
何だ、久し振りに帰ってきたからドッキリか?

「アンタ、ここの関係者なのぉ?」

私から少し離れた場所に、一人の少年が立っていた。
口に銜えた棒つきキャンディ。
意地悪く笑う、悪魔みたいな少年。

誰だ、こいつ。

「……そうですけど、何者ですか」

私は基本、無口。
それだけ言っておこう。

「何者ですか、とキタか。 はッ、こういう者ですよ」

少年は両手を前に突き出した。
すると、

パキパキパキパキパキッ……!

とたくさんの氷が私目掛けてやって来るではないか。
───ああ、この少年は【能力者】なのね。 氷系の。

氷が私を貫く前に、私は空いていた左手を前に出す。
そして、【燃やしてやるよ】。

ゴウッと炎が出現して、氷は消えてしまった。
少年は小さく舌打をする。

「アンタ、もしかして【紅炎少女】?」

「だとしたら、何か?」

そんなやり取りをしている間にも、私は炎を少年へ。
蛇のようにうねる炎は、一直線に少年へと走る。

相手が氷系なら、私が勝つに決まっている。

それを察知したのか、少年は高く跳びあがった。
残念ながら、炎は少年に当たらない。

「あーぁ、【紅炎少女】に用はないんだよね。
 ってことで、じゃあね〜☆」

ニッコリと笑い、少年は風のように消えていった。
はあ、初日から戦闘だなんて。

私、【紅炎少女】である紅エリカの顔は真っ白だった。