ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 絶対少女!! ( No.27 )
- 日時: 2010/04/22 21:52
- 名前: ユエ (ID: S7/.WdDv)
「……久し振り、です。 紅エリカ、帰国しました」
基本無口、冷静な紅エリカさんはそう言った。
【紅炎少女】で、名家である紅家の令嬢。
ウェーブのかかった茶髪ロングに、燃えるような紅い瞳。
ちなみに、瞳に光が宿っていない。
わたし、飛鳥、時雨、りあむ、エリカさん。
この五人の中で一番年上なのが、十八歳のエリカさん。
一番年下は、十四歳の飛鳥。
【絶対少女】の泉心音。
【飛翔少年】の泉飛鳥。
【時間少女】の香宮時雨。
【歪曲少年】の藤堂りあむ。
【紅炎少女】の紅エリカ。
この五人が揃うのは、一ヶ月ぶりだった。
いや、四人は揃うんだけど。
エリカさんは大抵、紅家の所有する島にいるらしい。
さすが、名家の令嬢は違うね。
ちなみに、その島の名前は【蛍島】。
「久し振りですね、エリカさん」
わたしたち四人は、次々とエリカさんに詰め寄る。
エリカさんは少し困った表情をしていたけど、
少しだけ嬉しそうな表情でもあった。
◇ ◇ ◇
「巨大な氷と、行方不明者……?」
エリカさんは日下部さんの言葉を繰り返す。
「うん、エリカくんは何か知らないかい?」
すっとエリカさんは燃える紅い瞳で、日下部さんを見て、
「巨大な氷は、きっと能力者の仕業ですね。
そして、私は多分、先ほどお会いしましたよ」
一気に喋ったエリカさんは、深呼吸をした。
無口なのに、こんなに喋るとは。 わたしは内心驚いていた。
「会ったんですかあ?!」
時雨が叫ぶ。
「相手は氷系で、私の前に巨大な氷を出した……。
【紅炎少女】なので、簡単でしたけど」
再び、エリカさんは深呼吸。 吸って、吐いて。
「どんな子だったの?」
飛鳥が楽しそうに訊いた。
「棒つきキャンディ、意地悪そうなガキ、って子」
一瞬だけ、りあむの表情が変わったのをわたしは見逃さない。
あとで問い詰めてやろうかな。
「なるほどね」
日下部さんは短くそれだけ言うと、個人の研究室へ走った。