ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.39 )
日時: 2010/04/29 19:26
名前: ユエ (ID: kix7MxaA)

どうしよう、どうしよう。
わたしの頭を駆け巡る、どうしようの五文字。

【絶対】が効かない。 【巻き戻し】が効かない。

どうすればいい……?! 

「とにかく、この犯人を見つけ出すんだよっ!」

飛鳥が叫ぶ。 真面目な顔で、真剣な目で。

「でも犯人はどこに……?!」

焦るわたしは、早口になっていた。
それでも、飛鳥は真剣な顔で、

「だからッ、見つけ出すんだよ!」

怒鳴るように叫ぶと、ふわふわと飛んでいってしまった。
あんな飛鳥の顔、初めて見たかも。 何か、わたし、バカみたいだ。
時雨はわたしの腕を優しく掴み、

「心音、見つけよう……?」

そう言って、ぐいと腕を引っ張り駆け出した。

「そうだね……!」

見つけ出して、この呪いみたいなもの、解いてもらうんだ!
わたしと時雨は、それぞれバラバラになって学校中を探すことにした。

◇   ◇   ◇

パキッ!

ぼくの目の前に、大きな氷が現れる。
ゆっくりと着地して、誰がやったのかを見ようとする。
すると、足元に再び大きな氷が現れる。

もう一回飛び、天井スレスレの場所で浮遊する。

「分かった。 アンタ、【飛翔少年】?」

氷を出した少年はぼくに問う。
キャンディを口に銜え、ちょっと意地悪そうな少年。
年齢はたぶん、ぼくと同じくらい?

───こいつ、エリカさんの言ってた奴?

「そうだけど、君は?」

キャンディを出し、ニコッと笑って答える。

「オレは【寒冷少年】のれおん。 よろしくネ、飛鳥くんッ」

言い終わった瞬間、れおんはぼくを指差した。
すると、パキパキと音がして、周りが氷だらけになる。
氷の集団は、ぼくに向かってやってくる。

「誰がよろしくするか、って感じ!」

ぼくはヒラリ、と氷を避け宙周り。 
チッとれおんは舌打。 だって、ぼくは【飛翔少年】だ。

「親切にしてやってるのにィ」

再び、氷がぼくを襲う。 だが、もう一回宙周り。
残念でした、とぼくはベッと舌を出す。

ぼくは近くにあった氷を浮かし、

「親切はいらないよ」

れおんに向けて吹っ飛ばす! 当たれば気絶。
だが、れおんは───、

「無駄だよ。 オレに攻撃は効かない。
 全て【反射】されるんだ!」

ニッと笑う。 どういうことだ……?

れおんに向かっていた氷は動きを止める。
そして、跳ね返されたようにぼくへと向かう!

「なッ……」

額に氷が当たり、激痛が走る。 
その瞬間に、れおんは大量の氷をぼくに降らせる。

「がッ?!」

薄れていく意識の中、れおんの意地悪そうな顔が目の端にうつった。
そして、

「オレの他にも、誰かいるってこと忘れないでね☆」

と不気味に笑った。

「例えば、【反射少女】とか?」

◇   ◇   ◇

わたしは体育館へ到着した。
どうやら時雨は三階へ行ったらしい。

体育館は無人だった。 何だ、収穫なしか。
わたしが戻ろうとした瞬間、

「あなたもしかしてさあ、【絶対者】じゃなあい?」

甘ったるい声が響いた。