ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.65 )
日時: 2010/05/14 19:30
名前: ユエ (ID: TdOACXKk)

「すごいっ、すごいよー!
 さすが紅家だね、りあむっ! 豪邸だよっ!!」

蒼い海に囲まれた島、紅家の所有する島、蛍島。
蛍島の中心には、紅家の豪邸が建っていた。
まるで、昔のヨーロッパのお城みたいな感じ!

「心音、はしゃぎ過ぎだよ」

りあむが笑いながら言う。 
もう、りあむも、もっと喜べば良いのにっ!
……なんてね。
でも、りあむのはしゃぐ姿とか見てみたい、かも。

紅家の豪邸の、玄関に到着した。
玄関には、二人の執事? メイド? みたいな人がいた。
そして、深く頭を下げて、

「ようこそ、蛍島へ」 「ようこそ、紅邸へ」

とても丁寧に言ってくれた。
すす、すごいっ。 流石、紅家だっ!!

メイドさんの格好をした少女。
(たぶん、わたしと同じ年齢だと思う)
黒髪を二つに縛り、エリカさんと同じような瞳をした子。
その子がわたしの前に来て、

「お荷物、お持ちします」

と一言だけ言い、わたしのスーツケースを持った。

「あ、あのっ……」

「紅家に仕える使用人、海雪(ミユキ)といいます」

ペコ、と再び頭を下げた。
そして、りあむの前には一人の執事らしき少年。
たぶん二十歳くらい?

黒髪に、黒縁眼鏡。(けっこうイケてる!)
すごく賢そうな感じ。

「お荷物、お持ちします」

そう言うと、りあむのスーツケースを持つ。
勿論りあむも、

「え、えと……?」

「紅家の仕える使用人、心也(しんや)といいます」

海雪ちゃんと心也くんは、荷物を持ってどこかへ行ってしまった。
やっぱり凄いなー……紅家。

◇   ◇   ◇

(もしもし、りあむくんですか?)

今にも笑い出しそうな、時雨の声がする。
あぁ、もう畜生。 時雨め、絶対許さないぞ……。
おれは危うく、携帯電話を曲げるところだった。

「まったく、携帯電話曲げるところだったぜ」

(クス。 どうですか、心音ちゃんとの旅行は♪)

「〜っ! 旅行じゃないし、エリカさんだっている!」

自分で自分の顔が赤くなっていくのが分かる。

(でも、どうでしょう? ちゃんと、楽しんで下さいね)

プツッ……。
時雨からの電話は、勝手に切られてしまった。

おれが豪邸の部屋に入った瞬間、待っていたかのように携帯が鳴り出した。
時雨からの、「心音ちゃんとはどうですか?」電話。

はあ、なんてヤローだ。

一人だけの豪華すぎる部屋を見回す。
ちなみに隣は心音の部屋。

パキン、と。
何かが氷結する音がしたのは気のせいか。

◇   ◇   ◇

「能力者は、嫌いです」

海雪が俯きながら言う。

「私も能力者だ。
 しかも、紅家は代々炎系の能力者の家系だが?」

私は海雪を見ないで言う。