ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.70 )
日時: 2010/05/19 21:49
名前: ユエ (ID: ZMbBEmTn)

「あの、エリカさん……」

わたしとりあむは、エリカさんの食事を見つめた。
隣にいる、海雪ちゃんと心也くんは無表情。

「何?」

エリカさんは無表情でパク、と一口。
ということで、わたしも豪華なお食事を一口。
紅家での豪華すぎる夕食。

広すぎる部屋で、大きすぎるテーブルで、豪華すぎる夕食。
さすが、紅家って感じなんだけど……。

どうしてエリカさんは、

「おにぎり、なんですか?」

ちなみに具は全て鮭。 
本当に紅家のご令嬢なのかなぁ? なんて、考えちゃうよ。

だってわたしとりあむは、マジで豪華なのに。
どうしてお壌さまがおにぎり?

「エリカ様は、おにぎりが好きなんですよ」
爽やかな笑顔で、立っている心也くんが言う。
いやいや、心也くん。

そういう問題ではない気がするよ?
まー、個人的なことだしね……。

ちょっと変わってるな。 お壌さまなのに。

「……んむ、二人はこの後、どうする?」

おにぎりを食べながら、エリカさんが問いかけてきた。
それに対してりあむが答える。

「どうする? って?」

「風呂か、島でも見て回るか、ということです」

海雪ちゃんがぶっきらぼうに答える。

「夜の蛍島は、面白いですからね」

と言うのは心也くん。 
へ〜ぇ、なんだか面白そうだなっ。

「じゃあ、りあむ? 夜の蛍島を散歩しよう?」

「……っうん、いいよ!!」

やったね。 蛍島・夜のお散歩だー。
わたしは豪華すぎる夕食を少しだけ、はやめに食べるのだった。

◇   ◇   ◇

「り〜あ〜むっ!」
わたしは隣のりあむの部屋に入室。 
一応夜、なので少し薄めの上着を羽織る。

「こ、心音! もう行くか?」

「うん、勿論じゃん☆」

本当に楽しみだなぁ、夜の蛍島。
なんかこういうの、本当に楽しみ!

わたしとりあむは紅家豪邸の玄関から、五人ほどの執事に見送られた。
すっごーい、やっぱ名家だよ。 紅家凄すぎる。

黄金に輝く月が、わたしとりあむを照らした。
進む道は、紅家が造ったレンガでできた道。
まるで、昔のヨーロッパみたいだ。

「本当に、すごいなぁ」

りあむが呟く。
今日、すごい、を何回言ったのだろうか。
それくらいたくさん言ったよね、きっと。

「ねぇ、りあむ?」

「何だ?」

「あのさー……。 好きな人とかって、いない、の?」

ずっと気になっていたんですよ、実は。
自然と、わたしの頬が緩むのを感じた。
むう、笑ってはいけない。

「ななな、ッ、な、何を言い出すんでしゅかっ」

「あっはははははは! 噛みすぎだよぉ、りあむ!」

「ううう、五月蝿いっ」

りあむは耳まで真っ赤だ。
本当に、噛みすぎだよ、りあむ。
これはいると、考えていいんだね?

「で、誰なの?」

「それは今、言うべきなのか……?」

「できたらねー♪」

りあむが真っ赤な顔で、困った顔になる。
なんか可愛いなー。 なんて言ったら駄目だけど。

「……おれの好きな人はっ」

おぉ?!

その瞬間だった。
ドサリ、と鈍い音がした。

「?」 「え?」

背後からした音。
わたしとりあむは振り返る。

真っ赤だったりあむの顔は、真っ青になっていく。
わたしは、力なく座り込んでしまう。

「海雪、ちゃん?」

真っ赤な血に染まった海雪ちゃんが、倒れていた。