ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.73 )
日時: 2010/05/21 19:23
名前: ユエ (ID: 6U7QBJXl)

「み、海雪ちゃんっ……?!」

真っ青な顔をしたりあむが、すぐに近寄った。
だらり、とした海雪ちゃんの体。 
少しだけ開いている瞳は、全く光を宿していなかった。
小さく開いた口。 乱れた黒髪。 白い顔。
真っ赤に染まった、メイド服。

「うそ……でしょ………?」

りあむが海雪ちゃんの体から少しだけ離れた。
そして、右手を海雪ちゃんに向ける。
一体何をするつもりだろう?

まさか……、

「能力を使う気なの、りあむっ?!」

言い終わった瞬間、海雪ちゃんの下の地面がぐにょ、と歪んだ。
こてん、と人形のように海雪ちゃんが転がる。

「ちょっ、何をしたの?」

「よく見て、海雪ちゃんが倒れていた場所。
 ───血の跡が残ってない」

え? わたしは海雪ちゃんが倒れていた場所を見た。
すると、本当にりあむの言うとおり、血の跡がない。

ちなみに転がった海雪ちゃんのお腹からは、血が流れている。
どうして血が流れているのに、地面に跡がないの?

もしかして……、

「“絶対”に、海雪ちゃんは浮く」

ふわり、と海雪ちゃんの体は浮く。
なんかわたしたち、死体をいじりすぎじゃないか?

「あッ……」 「!!」

ふわふわと浮く海雪ちゃんの体。
下を見ると、血は流れていない。

そしてもう一つ……。

「影が、ない……」

そう。 浮いているのに、影がないのだ。
どういうこと? 

しばらくわたしたちは呆然としていた。






「心音さまっ、りあむさまっ」

遠くから、心也くんの声がした。
あれ、どれくらいここに立っていたんだろう……。
海雪ちゃんの死体? は浮いたままだ。

「心也、くん……」

「なかなか戻ってこないので……っ?!
 み、海雪っ?!」

心也くんも、驚いていた。
そりゃあ、驚くよね。

突然、心也くんは自分の眼鏡をはずした。
すると、心也くんの瞳が紫色に変化していったのだ。

「?!」

「ずっと言わないつもりでした……。
 僕は能力者です、【真理少年】成宮心也(なるみや しんや)です」