ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.74 )
日時: 2010/05/21 19:47
名前: ユエ (ID: 6U7QBJXl)

心也くんが、能力者ぁ?!
わたしとりあむは、まだ呆然と立っている。
そして、ふわふわと浮く海雪ちゃんの死体?

完全に紫色になった心也くんの瞳。
心也くんは海雪ちゃんの死体らしきものを、睨みつけるように見る。

「“偽りはいらない、ただ、真だけを求めて!”」

言い終わると、心也くんの瞳の色は元に戻っていった。
能力者って、けっこう近くにいたりするんだね。

「……それで、どうだったんですか?」

りあむが訊く。

「あれは、誰かによって想像されたものです」

「想像、ですか?」

コクン、と頷く心也くん。

「想像され、造られ、誰かがわざと二人の前に出した。
 ……それが真理です」

うわあ、何かカッコイイな、この能力。

「この島に、怪しい者がいる、ということになります。
 ……エリカ様に伝えてきますので。
 お二人はそのまま、お散歩を続けても大丈夫ですよ」

心也くんは微笑みながら、造られた死体を持って帰ってしまった。
───また、れおんって人や美羽の仕業?

◇   ◇   ◇

わたしたちはその後、豪邸に戻り風呂に入った。
そして、各自そのまま就寝。

ベッドはふかふかで、夢みたいだった。


そしてわたしは───……。
【夢】をみた。 



『姉貴ぃー!』
遠くから、飛鳥の声がする。
こっちに向かって走ってくる、わたしの弟。 飛鳥。

『心音ちゃん!』
いつの間にか、隣には時雨がいる。
ニコッと笑っていて、とても可愛らしい。

『心音』
少し離れた場所から、エリカさんもやって来た。
ふわり、と炎が浮いている。


『飛鳥、時雨、エリカさんっ!』
わたしも、皆に手を振ったり、笑い返したりした。

だが突然、パキン、という氷結した音がきこえた。

壊れていく世界、
消えゆく仲間、
暗闇に包まれた空間がわたしを怯えさせる。

(はやく覚めないかな、こんな夢……!)

パキッ。
わたしの隣に、小さな氷が現れた。

咄嗟にわたしは振り返り、能力を使う準備をした。
でも、そこにいたのは、

『りあむ……?』

冷たい瞳をした、りあむだった。
そのまま、りあむはわたしへ両手を向ける。



『人間兵器のくせに』

そう言い放ち、大きな氷を生み出した───……。








「───っ! ───……ね、心音!」
耳元で、誰かが大きな声でわたしを呼んでいる。
んもう……誰よぉ?

「んむ……っ。 だあれえ?!」

「寝起きが悪いようね、心音」

エリカさんでした。 あっちゃー!!

「すすすすす、すすすっ、すみませんっ!!」

無表情だから、少しだけこわいです。

「そろそろ朝食が出来るわ、りあむがそこで待っているから……」

それだけ言うと、エリカさんは出て行った。