ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.78 )
日時: 2010/05/23 20:48
名前: ユエ (ID: WwOXoFC5)

紅家屋敷、三階。

最初は図書室だった。 名前の通り、本がいっぱいある部屋。
しかも、本は全部ジャンルによって分けてある。
古い本から新しい、最近の本まで。

「すご……。 本当に家なのかなぁ?」

「本当だな、近くにある図書館みたいだ……」

奥の方には、辞書や事典があった。 地図もある。
ふと、わたしは近くの棚から適当に本を取った。
ペラペラ、とページをめくる。

「あっ」

はらり、と桃色の花びらが出てきた。
よく見ると、さっき入れたばっかりみたいな感じ。
誰かが入れたのかな……?

「お、おいっ。 心音!!」

突然、奥の方からりあむの驚いた声がした。
名前を呼ばれたので、本を戻して行く。

頬に、どこからやってきたのか、一枚の花びらがつく。
さっきと同じ花びらだ。

「りあむ?」

「ここ図書室なんだよな……っ?」

「!!」

りあむが百科事典の棚の前で、花びらに埋もれていたのだ!
どういうことだろうか。 この花びらは、どこから?

「“絶対”に、花びらはなくなる」

そう言うと、ふわりと花びらは浮き、外へ出て行った。

「ふーっ、驚いたぁ……」

「ちょっと、どういうこと?」

「おれが知りたいよ。 この本を開いたら突然……」

「────海癒? ミユ姉ぇ?」

コツン、と本棚の間から海雪ちゃんが顔を出した。
両手で本を持ち、希望に満ちたような顔で。
そしてすぐに、ハッとする。

「海雪ちゃん……?」

「ッ、く……! 失礼致しました、心音さま、りあむさま」

それだけ言い残し、小走りで出て行く。
何かあったんだろうか?
しかも、『海癒』って誰?

海雪ちゃんが立っていた場所を見ると、花びらが数枚落ちていた。

◇   ◇   ◇

「何かさ、海雪ちゃん。 ちょっとおかしくない?」

紅家の屋敷探検を中断し、りあむの部屋でくつろいでいた。
エリカさんは大きな立派な庭園で、絵を描いているという。
あとで行くつもりだ。

「おかしい、って……?」

ドスッとベッドに座るりあむ。
わたしは窓の近くに座っている。

「絶対何か隠し事あるよね、あれ」

「人にはね、そういうことが一つはあるの、りあむ!」

「……そーか」

ふい、と横を向くりあむ。