ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 絶対少女!!  ( No.93 )
日時: 2010/05/30 16:18
名前: ユエ (ID: jCCh2JPd)

「エリカさ────」

と言いかけたわたしの目の前に、りあむが両腕を広げる。
わたしの動きを制している。 ど、どうして……?!
すぐにわたしは両腕をどかそうとする。

「ちょっと、りあむぅ………! 何なのっ」

「これは偽者のエリカさんだよっ、よく見ろ!!」

「………え?」

わたしは言われた通り、細かい部分までよく見た。
すると、まず一つ。 影がない。
あとは腕の角度などが少しだけ、不自然なのだ。

この前の海雪ちゃん偽死体に続く、出来事。

一体、何を意味するのだろうか……?

「────お前も空想になってしまえぇえええ!」

ガチャンッ。

次は、廊下から海雪ちゃんの怒鳴り声に近い叫び声がした。
それから、何かが割れる音。 たぶんガラスだろう。

わたしとりあむは、廊下へ出てソレを見ようとした。

「わ………っ?!」

そこには、海雪ちゃんと心也くんがお互いを睨みつけながら立っていた。
そして、舞う花びら。 たしか、これの花の名前はミヤコワスレ。

心也くんの瞳は紫だ。 【真理少年】になっている。

「ちょっ……、これはどういう?!」

「───“破壊された絶望の世界”!」

りあむの声が、海雪ちゃんによってかき消される。
バキ、という何かが割れた音。 
すべての動きが遅くなる。

「“空想という空想の真理”」

心也くんが呟くと、すべての動きは正常になる。
もしかしてこれ……、

「海雪ちゃんって………、能力者?」

「五月蝿いですね、【絶対少女】泉心音!」

ギロッと海雪ちゃんが睨む。
わたしが能力者であることを、知っている……。

「そこの【歪曲少年】も、今能力を使うと大変なことになりますよ?」

ついでにりあむのことも知っているようだ。
ミヤコワスレの花は、舞い続ける。

「海雪! もうやめろよ……っ?!」

「黙れ【真理少年】!」

一体何が起きているの……?