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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 闇夜の惨劇 ( No.36 )
- 日時: 2010/06/15 17:13
- 名前: 凛 ◆KM/REaTgCs (ID: zTJIAtHn)
2話*流した涙
三角関係は波紋を呼び
波紋はどんどん大きくなっていく
「神田君っこの後なんか予定ある?」
放課後、悠莉が大声で聞いた
「いや、特にねぇけどさ」
「じゃあさ、駅前のアイス屋さんに行こうよ〜」
そんな会話は聴こえてくる中、私は梨子さんを見つけた
手に握り締められたのは———アイス屋さんの割引券
きっと、彼を誘うつもりだったのだろう
先を越された、という哀しみが瞳に宿っていた
「あっれぇ、梨子。何やってんのぉ?」
「あ……悠莉、ちゃん」
「そこ突っ立ってるとバカみたいだよ。てかさぁ、握ってんのって何?」
勝ち誇ったように言う悠莉
汚い手だ。何なのか分かってるだろうに
「こ、これアイス屋さんの割引券! 神田君と、一緒に行くなら、使って……」
辛そうに、俯きがちに言った
「あっりがと〜! ねぇねぇ神田君! 早く行こっ〜」
彼の手を掴み、悠莉さんは行ってしまった
1人残ったのは梨子さん
俯きながら、震えている
「うッ! うぅ……ッ」
泣き声だけが木霊する
放課後の教室に誰も居なかったのが幸いだ
「……哀れな」
そして私は立ち去った
梨子さんの流した涙は、綺麗だった
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