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Re: 闇夜の惨劇 ( No.42 )
日時: 2010/06/28 18:36
名前: 凛 ◆KM/REaTgCs (ID: t7vTPcg3)

3話*哀しい現実
+*梨子side

「あーあ、今日もダメだった」

ポツリと呟いて、道端に転がる石ころを蹴ってみる
そんな幼稚なことをしても、状況なんて変わりっこない
どんどん悠莉ちゃんとの差が開いていく
なんてことを考えていたら、駅前まで来ていた

「あははっ! 神田君、アイスついてるよっ?」

……!!
この声……悠莉ちゃんだ!
ハッとして声のするほうを見ると、悠莉と隼人がアイスを食べている場面に出くわした
2人とも曇りの無い笑顔だ
第三者から見れば、2人は本当の恋人のようだった

「……最悪なとこに出くわしちゃったよ」

じんわりと何かが胸を満たしていく
ズキズキと、胸が痛む
視界がぼやける。涙腺が緩む
唇が震えだす
急いで涙が流れる前に、ゴシゴシと目を擦った

「ッ! あたしも……神田君とあんな風にお喋りしたいよぉ……」

不意に、2人が此方に気付いた
悠莉と目が合った瞬間、悠莉が勝ち誇った顔をした、気がする
隼人は唯ポカン、としていた

「あっ……」

急いで走って逃げる
胸は未だにズキズキと痛んで、
涙は後から後から流れ出た

「っふ……ッヒッ……ふぇッ……ッ」

胸が痛むのは何で?
それは哀しいから
涙が出るのは何で?
それは、彼が好きだから

好きだから、哀しくて泣いた


梨子は、泣きながら家へ帰った