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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 闇夜の惨劇 ( No.44 )
- 日時: 2010/07/07 21:26
- 名前: 凛 ◆KM/REaTgCs (ID: t7vTPcg3)
5話*悠莉の事情
+*悠莉目線
「じゃーねー神田君っ!!」
「おう! また明日なー」
大きく手を振って神田君を見送ってから、上機嫌であたしは帰り道を歩いた
「そーいや、梨子が居たな……しかも泣いてたし」
梨子が神田君を好きなのは知ってる
それを知った上であたしはあんな風に神田君と接する
ライバルは少ない方がいい
「ただいまー……って、誰も居ないしね」
靴を脱ぎ、リビングのソファーに鞄を放り投げてその横にドカッと座る
「あの人達は今日も居ない、かぁ〜」
ソファーに座りながら、適当にチャンネルを回す
目に映ったのは一家団欒している家族の映像
皆、笑顔だ
「……こんなもの、あたし何年前にしたっけな」
同時刻に梨子も同じ事を考えているとは露知らず
ポツリと呟いてみた
幼い頃から両親は共働き
どっちも家庭を顧みない性格してたから、殆ど家に居なかった
家族の思い出なんてロクに無い
で、あたしはお爺ちゃんとお婆ちゃんに育てられたようなものだった
「優しさなんてロクに貰っちゃいないんだよね」
ハァッとため息をつき、自室へ戻る
ベットにダイブして天井を見上げる
瞼を閉じれば神田君の優しい笑顔
それがあたしを救ってくれた
「ありがとう」
だから、
絶対に梨子になんか渡さない
渡さない。絶対に!!
悠莉にも、事情がある
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