ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 闇夜の惨劇 ( No.54 )
日時: 2010/10/09 20:19
名前: 凛 ◆KM/REaTgCs (ID: hevWx4Os)

12話*空より舞い降りし吸血鬼

さて……今宵も闇に繰り出して、惨劇の幕開けとしようか……
深夜に佇む少女は、一軒の家を眺めた
クリーム色の壁に蒼い屋根
そう、悠莉の家の前に居るのだ

「邪魔するぞ」

勿論、返事は無い
寧ろ返事があったら厄介だがな……
階段を上り、二階の悠莉の部屋へと入る

悠莉はぐっすりと寝ていた
この様子だと、暫く起きそうにない

「……惨劇を始めるか」

その時、窓辺に黒髪の少女が現れた
月を背にニヤリと笑うその顔は、見慣れている

「———……何のようだ、セルシェ」

「キヒ、最近退屈って言ったでしょ? だからお手伝いにさぁ」

部屋に入り込みながら、言う

「全く……お前という奴は」

「キヒヒヒ、これがあたしだもんっ」

「特別だからな」

私にお礼を言ってから悠莉のベットの前に経ったセルシェの顔が、残酷な微笑みに変わる

「蝙蝠ちゃんたち出ておいで。エサの時間だよ」

途端に、窓から夥しいほどのこうもりの群れが部屋へと入り込む
そして、悠莉を囲んだ

視界に紅が飛び散る
———一時間ほど経っただろうか、蝙蝠は消え去っていた

「……無残だな」

「キヒヒヒヒヒ、ご馳走様でした!!」

目の前にあるのは、既に悠莉ではなく、唯の肉片だった