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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 闇夜の惨劇 ( No.59 )
- 日時: 2011/06/26 14:40
- 名前: 凛 ◆KM/REaTgCs (ID: VYCQ1KaR)
3話*椿の木と緋き夕陽
放課後。生徒達が帰り道を進んでいる
茜凪たちも例外ではなく、その生徒の波に紛れる
椿の木の側を通りかかった時、その向こう側から聞き覚えのある声が聞こえてふと、足を止めた
高めの甘ったるい声。そして緩く結んである茶色がかった髪———
「あれは……美咲さん、かしらね」
「あ! あそこのチョコケーキ美味しそう!」
向かい側に座っているのは……川向こうの中学校の生徒だろうか
彼女も美咲同様、茶色がかった髪に甘ったるい声をしていた
……類は友を呼ぶ、とはよく言ったものだ
「聞いてよ雪音ぇ! 道弘がさぁ、最近冷たいの〜」
「道弘君学校では普通だったと思うんだけどなぁ〜どうしたんだろう?」
他校の生徒は“雪音”と言うらしい
……名だけなら好みなのだが
話からして、“道弘”は美咲の恋人、雪音とやらはそ奴と同じ学校らしい
「ねーなんかあったら教えてよー?」
「分かってるって!」
端から仲の良い少女達
でも、茜凪達だけは違った
———雪音は何かを隠している……? 何をだ……?
「……下らぬ」
フイッと視線を外すと、紫の髪を風に靡かせその場を立ち去った
椿の葉が、一片落ちる
夕陽の鮮やかな緋色が全てを緋で満たす
その日の夕日は———やけに紅かった
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